芽生え
 ラビルーナ、第5エリア。

 ここは月の内側にあり、樹木が無数に生い茂った、自然の息吹を肌で感じられる場所。

 最初はほんの観光旅行という軽い気持ちで月に来た大地だったが、 全世界を我が物にしようと企む邪動族の存在を知り、

自分が『炎と大地の魔動戦士』という自覚を持って戦うことを心に決めた。

 旅の仲間―魔法使いのV−メイ、その孫のグリグリ、風の魔動戦士ガス、水の魔動戦士ラビと、日々色々と騒がしく過ごしながら旅を続けている。

 ラビはなかなか心を開かず、ことあるごとに大地に絡んできてその度にケンカしてしまうのだが、口の悪さほどはイヤなヤツじゃない事をだんだんと大地も理解していた。



 そんなある日のこと、大地はいつものように一行と野営地で眠っていた。

「ん…?」

 大地はなんだか下半身がムズムズするような妙な感覚に襲われ、思わず目を覚ます。

 掛けてある毛布をそっとまくってその部分を見てみた。

「っ…!?」

 そこには、ズボン越しに固くなっている自分の性器があった。ムズムズの正体はどうやらこれらしい。

(な…何…?)

 慌ててそこに手をやると、いつもと違い大きく反り返っているようだ。それに何やらビクビクと脈打っている。

(わっ!何だよこれ!?今までこんな風になったことないのに…!!も…もしかして病気っ!?)

 そんな考えが一瞬頭をよぎった途端、ものすごい不安感が大地を一気に襲った。

(ど…どうしよう…。変な病気になっちゃったなんて。誰かに言うにしても、こんなトコのことなんて恥ずかしくて言えないよ!

病院に行くったっていやだし、第一こんなとこで病院自体探すのが大変だ…いやだ、お母さん…!!)

 魔動戦士だ何だといったって、大地はまだまだ子供である。

 遠く離れた地球にいる母親を頼りたくとも頼れず、猛烈なホームシックにかかって自然と涙があふれてしまう。

 大地は思わず隣に寝ているラビに、寄り添ってしまった。

「んん…」

 ふとラビが目を覚まし、寝ぼけまなこで大地の方に寝返りを打つ。

「くっ…ぅ…ひっく…」

「…大地ィ…?」

 なんとなく大地の様子がおかしいことに気づいたラビが声をかけると、大地はハッとなった。

「…!!」

「…どうしたんだよお前。泣いてんのか?」

 大地はラビに泣いていることを気づかれて、恥ずかしくてすぐに涙を拭った。

「泣いてないよっ」

 真っ赤な目で何言ってんだか、とラビは意地悪い笑みを浮かべた。

「思いっきり泣いてんじゃねーか。ははーん…まぁたお母さんのことが恋しくなったんだろー。このマザコンボーヤ」

「……」

 すぐに反撃する大地を想定していたラビは、しゅんとなってしまった大地に肩透かしを食らわせられたので驚いた。

 大地は『お母さん』と聞いて、表情を一層暗くしている。

「なんだよ、どーしたんだ。ヘンだぞお前」

 さっきまでからかい気味だったラビの口調が、真剣味を帯びた。その変わりように、大地は潤んだ瞳ですがるようにラビを見つめる。

 ラビは、それを見てなんだか胸が締め付けられるような感覚を覚えた。

「ら…ラビィ…」

 大地はもうあふれる涙を隠そうとせず、ラビの袖口をぎゅっと掴む。

「大地…一体…」

 大地は意を決して、頬を真っ赤に染めて呟いた。

「ラビ、オレ…病気かもしれない」

「病気ィ!?」

 ラビはかなりビックリした様子で、思わず声が大きくなった。

「しーーっ!誰にも言わないでよ!!」

 大地は大慌てで人差し指を口に当てて、声をひそめる。

「病気って…何の病気だよ」

 あまりに唐突な話に、ラビは大地に言われたとおり声を落として問い返した。

 大地は一瞬ためらって、ガスたちが寝ていることを確認し恥ずかしそうに囁いた。

「チ…チンチンが、ヘンなんだ…」

「へっ…」

「ほら」

 大地は毛布をまくって、ラビに自分の股間を指さす。

「…寝てたら、チンチンが大きくなってて…こんなの初めてで、怖くなっちゃったんだ。これ、何かの病気かなぁ…」

 弱々しく呟く大地を見て、ラビは思わず吹き出してしまった。

「…プっ」

「なっ…何がおかしいんだよ!」

 勇気を出してラビに打ち明けたのに、それを笑われて大地は息巻いた。

 何も知らない大地がなんだか可愛く思えて、ラビはもうちょっと遊んでやれと、わざと声を大人のように低くして言った。

「ああ、それはだなぁ、『マザコン病』って言って、いつも『お母さん、お母さん』なんて言ってる乳臭いガキがかかる病気だな」

「……っ!」

 ラビが笑いを堪えながら、肩を震わせて言う様子に大地はからかわれていると気づいた。くやしくて涙が自然にあふれてくる。

「っ…ラビのバカ!オレ真剣なんだからな!!もう知らない!!」

 ぷいっと背を向けてふて腐れる大地に、ラビは後ろから苦笑しながら話しかけた。

「ワリィワリィ。そりゃ病気でも何でもねぇよ」

「えっ…病気じゃないの?」

 病気じゃない、と言われて、大地は怒っていたのもどこへやら、くるっとラビに向きなおった。

「ああ、オレらぐらいの男だったら誰でもなる、身体の生理現象さ」

「…そっかー…そうなんだ。病気じゃなかったんだー…」

 心底大地はホッとした。

「お前はちっとばかり遅いみたいだけどさ」

「ふーん…じゃあ、ラビもこうなるの?」

「ああ、なるけどさ」

 大地は自分が知らないことを経験しているラビを少し大人に感じて、安心しつつ質問した。

「でもコレ、生理現象って言うけどどうやったら元に戻るのかなぁ。ずっとこんな風になってるのってヘンだよね」

 不思議そうに自分の股間に目をやる大地を見て、ラビはニンマリ笑った。

「オレ、治し方知ってるぜ」

「えっ?」

「お子チャマなお前に、オレ様が直々に教えてやるよ。ここじゃなんだから…あっち行こうぜ」

 そう言ってスタスタと離れていくラビに、大地は他の面々が起きないよう、コッソリとついていった。



「見せろよ」

 月の内側にいるのに、不思議と見える地球の優しい光に照らされて、ラビは大地にズボンを脱ぐよう促がした。

「えっ…でも…」

 いくら男同士、水浴びやらで裸のつきあいをしているラビでも、改めて自分のペニスを見せるのは抵抗がある。

 たじろぐ大地に、ラビはあきれながら言った。

「でもじゃねーよ。出さなきゃ治せないだろーが」

「ぅ…うん…」

 大地は戸惑いながらも、仕方なくズボンとパンツを脱いだ。

 地球光のもと、大地の真っ白な肌が浮かび上がる。

 大地のペニスはいつもよりも大きくなり、上に向かってピンと伸びていた。自分でもそういう状態を見るのが初めてで、おそるおそる見つめていたが、

ラビの視線に気づき真っ赤になってしまった。

「そっ…そんな見るなよっ…!!」

「ふーん…大地のって、こんな風になってんだな」

 ニヤニヤと意地の悪い微笑をたたえるラビに、大地はたまりかねて言った。

「何だよ、こんな風で悪かったな!っていうか恥ずかしいからラビも脱げよっ」

 ラビは深くため息をつく。

「…あのなー…どこの病院で患者と一緒に脱ぐ医者がいるんだよ」

「だってー…それにコレ、病気じゃないって言ったじゃん」

「病気じゃなくても、治し方教えてやるんだから立派な治療だよ。患者は患者らしく、医者の言うことに従えって。さぁ〜、診察しましょうかね〜〜♪」

 嬉々とした様子のラビに、大地はこのまま身を任せて大丈夫だろうかという気持ちが芽生えたが、それを言うとまたケンカになってしまうので、大人しく黙っていることにした。

「そこに座って」

「あ…うん」

 ラビは腰を下ろした大地に寄り添い、張りつめている幼いペニスにそっと手を伸ばした。

「っ…んっ」

 初めて他人にソコを触られて、大地はびくりと身体を強張らせる。

 思わず小さく声を上げてしまった自分に驚いた大地だったが、ラビは構わずに優しくペニスを触っている。

「あっ…ふっ…ら、ラビっ…!!」

 ぞくぞくと湧き起こる快感に戸惑う大地。

「ここをこうやってさすってやると、先っぽから白い液が出るんだ」

「…っはっ…」

 大地は紅潮した顔で、ラビの手つきを見ながら息を喘がせている。ラビは言葉を続けた。

「寝てる時にこうなっちまうと、自分でも知らないうちにその液が出て元に戻るんだけど…起きてる時になると、こうやって自分でさすってそれを出すこともできるのさ」

「…わ、分かった…っあっ…あぅんっ」

「気持ちいいだろ?」

「うんっ…きっ…気持ちいいっ…」

 耳元で囁くラビの声を、何故か遠くで聞いているような気になりながら、素直にラビの言うことに答えた。

 一方ラビも、いつもは些細なことでケンカばかりしている大地が、自分に身を預けて震えているのを見て次第に興奮してきていた。

「…ほら…大地の先っぽから、透明な液が出てきたぞ」

 そう言ってラビは自分の手についた大地の体液を、大地の顔に近づける。

「っ…!!」

 大地は恥ずかしさのあまり真っ赤になってしまったが、自分のモノからあふれてくるその透明な液を、不思議な感覚で見ていた。

 ラビはその液を大地のペニスにまんべんなくまぶしながら、愛撫の手を激しくする。

「ひぁっ…!!」

 くちゅ、とひわいな音が静かに森に響く。

「この液は、お前が気持ちいいって言ってる証拠みたいなもんさ」

 ラビは大地の火照った顔を見つめて言う。

 大地はラビの手によって追いつめられ、自分でも知らず知らずラビの首に腕を回した。

「ラビッッ…んっ…あ、あん、くんっ…!」

「大地…」

 大地同様、ラビの息も荒くなっている。

「あっ!…ラビ、なんかオレ…ヘンっ…!!」

 ラビにしがみつく大地の腕の力が強くなる。気づいたら二人の顔は間近にあった。

「…大地ィ…」

 引き寄せられるように、ラビは大地に口づけた。柔らかく、しっとりと濡れているその感触は、何ともいえず心地いい。

 大地は今ラビとキスしたことに気づいてハッとしたが、その途端下半身から突き抜けるような強烈な感覚が襲ってきた。

「ふぁ…あっ…あぁっっ!!」

 今まで経験したことのない快感に見舞われて、大地はラビの手の中で果てた。



 その後、しばらく静寂の中にいた二人だが、ラビが口を開いた。

「お前…イケたけど白い液出なかったな」

 荒くなっていた呼吸がやっと元通りになった大地は、それを聞いてガバッと身を起こした。

「えっ!!白いの出なかったって…やっぱりオレどっかヘンなんじゃ…!!」

 ラビはまたもや何も知らない大地の純情さがおかしくて、笑いながら答える。

「だーいじょうぶだって。そのうち出るようになるよ」

「…そっか…なーんだ、良かった」

 そして大地はラビに向きなおり、恥ずかしそうに言った。

「ラビ…ありがと」

 その笑顔を見てラビは一瞬真っ赤になったが、ごまかすように視線を空へ向けていつもの口調に戻った。

「へっ。なーんも知らないガキの相手は疲れるねー」

 礼を言われたことが恥ずかしくって悪態をつくラビの態度に苦笑しながら、大地はあることに気づいた。

 大地の視線の先は、ラビの股間。

 ラビ自身もさっきの大地と同じように、大きくなっている。

「ラビ…」

「え…あっ!こ、これはっっ!!」

 ラビは大きくなっている自分のペニスが大地にバレて、今度こそ真っ赤になっている。

「ラビは、白いの出るんでしょ?」

 唐突に大地に問われて、ラビは大地の質問の真意が分からないまま答える。

「でっ、出るけど…それがどうしたんだよ」

「じゃあ、見せてよ」

「なっっっ!!!」

 身体を大きくビクリとさせて、ラビは驚いた。大地は構わずに続ける。

「オレ、さっきラビにしてもらったから…今度はオレがラビにしてあげる」

「……!!」

 ラビは絶句した。大地はからかいではなく、本気で言っているのだ。

「ね、だから」

 大地に真剣に見つめられて、ラビは熱に浮かされたようにその言葉に従うことにした。

 先程の、大地が昇りつめていく様子をじっくりと見たためか、ラビは自分でも驚くほど自身が張りつめているのを感じていた。

 そっとズボンを脱いで、それを大地の前に出す。大地はラビに寄り添い、手を伸ばした。

「んぅっ…」

 今度は大地の手の中で、ラビのペニスが揺らめいている。

「上手にできるかわかんないけど…」

 そう言って懸命にラビ自身を高めていく大地。

 確かにぎこちない手つきだが、それがまた心地良かった。

「は…ぁ…大地…」

「ラビ…気持ちいい?」

「んっ…ああ、い…いいぜ…」

 大地は嬉しそうにラビを見つめる。ラビも小さく震えながら大地を見つめ返し、また自然に口唇を触れ合わせた。

 ラビは先程のキスとは違い、深く大地の口内に押し入り舌を絡める。

「あ…ふぅっ…」

 大地も思わず声を上げた。二人の舌はせめぎ合い、お互いを貪ろうとするかのように深くもつれ合う。

 息苦しさに二人が顔を離した時にも、銀の糸が口唇を繋いでいた。

「あ…オレまた…」

 大地はラビをこすりながら、また自身が大きくなっているのに気づいた。

 それに気づいたラビは、ゆっくりと身体を起こし、大地の下半身に手をやる。

「んくっ!」

 ラビはゆっくりと、自分の口内に大地のペニスを収めた。

「ひゃっ…!ら、ラビ!!」

 大地は驚いてラビに呼びかけるが、ラビは答えずそのまま舌で大地を攻めたてた。

 手とは違い、ぬめるような感覚に包まれて、大地はもう何がなんだか分からなくなっていた。

「あぅん、くっ…あん、んっ!!」

 ラビが自分にそうするのを見て、大地も誘われるように、姿勢を変えてラビ自身を口に迎え入れた。

 ラビの全身が大きく震える。

「んん…!!」

「あっ…はぁ…んっっ」

 互いのモノを口内で攻める。相手が自分にしていることを同じようにしてみたり、違うことをしてみたり…二人の口元は、自分の唾液と互いの愛液とでベチョベチョに濡れていた。

 ラビはたまらなくなって言った。

「おっ…オレ、もう出そう…!!」

「あ、あっ…オレもまたさっきの…ラビ、出していいよっ…」

「んっ…くっ!!」

「あぁっ!!」

 二人は共に、絶頂を迎えた。



 しばらくして、大地は自分の顔についたラビの精液を指に取り、まじまじと見つめて言った。

「これが出るようになるのか…」

「そうだけど…んな見るなよ、なんか恥ずかしーだろーが」

 ラビは照れ臭くて、大地の顔を見れないでいる。

「オレ、また出なかった…」

 少し落ち込み気味の大地に、ラビはズボンをはきながら答えた。

「そんなすぐ出ねぇよ」

「ふーん…そんなもんなんだ」

 ヘンに感心する大地を横目で見ながら、ラビはわざとあきれた口調で言う。

「…まったく世話が焼けるガキだぜ。ま、白いの出るまでオレが面倒見てやらないとな」

 その言葉に、大地はあわててラビのほうを振り返った。

「え…ラビ…?」

 ラビは大地の反応に最初「?」という顔をしていたが、今自分が言ったことの意味を改めて考えて、ゆでだこのような顔色になった。

 そして大地もそれを見て同じぐらい顔を赤らめている。

 …しばし無言で見つめあう二人。

 ラビは自分の一言でもたらしたその空気を打ち破るべく、わざと思い出したように明るく言った。

「はっ…早くバアさん達のとこ帰らなきゃ、邪動族に襲われたなんて大騒ぎになっちまう。さ、行こうぜ!!」

「あ…うんっ」



 そして大地とラビは元の場所に戻り、お互い背中合わせになって毛布にくるまれた。

 大地は頬をピンクに染めて、一人考えていた。

(白いの出るまでラビが面倒見るってことは、またあんなことするってことで…やってる最中は夢中で気がつかなかったけど、オレって実はすごいことラビとやってたんじゃ…!

キスもしたような気がする…わー!眠れないよー!!)

 ラビもそんな大地を背中で感じつつ、もんもんと思いを巡らせていた。

(ついついおもしろそうだからってあんなことしちまったけど、大地色っぽかった…。まじで大地が射精するまで相手しそう…っつーか、そうなったらそうなったで

どんどん色んなことしちゃいそうだぜ…。キスもしたし、オレすげぇハマッたかも。女の子大好きなこのラビ様が…だーーーっ、今夜は眠れねぇーーーっっ!!)

 ドキドキする鼓動を抑えきれないまま、二人は朝を迎えるハメになったのだった。




−END−



後書きという名の言い訳

   ラビ×大地のエロです。ショ、ショタくせぇぞ、この話(笑)

   ちょうどラビや大地(それにガスも)の年齢って、すごくませている子とそうでない子とがはっきり別れてるんじゃないかと思うんですね。身体の発育もそれぞれ違うだろうし。

   ラビはもちろん前者で、大地は管理人スコープを通すとまだまだなご様子。

   なんだかんだ言っても、好意を持っている相手には面倒見がいいラビの兄貴な感じを出したつもりです。(そう、つもり…)

   恋とか愛とか、そういうものに気づくよりも先に、身体の現象に興味があってこうなるラビ×大地の関係を書きたかった。

   この話はホントに独立してるような気がするので、他の話に絡むことはないと思いますが、気分によってシリーズ化するかもです。

   気まぐれだなぁ、私;