遠くへ行かないで
 ここは月の内側の真ん中にある、聖地ルナ。

 光と闇の長い闘いの末、大地たち魔動戦士は力を合わせて暗黒大邪神を倒した。

 ラビルーナには平和が訪れ、このルナにも本来の緑豊かな姿が取り戻されている。



 大地たちはここ連日、ラビルーナに住む様々な種族が用意した宴に招待されていた。

 勇者だ、神様だと憧れの眼差しで見られ、行く度ごとに手厚い歓迎を受けたが、大地はちょっぴり気恥ずかしくて、そういう場所があまり得意ではなかった。

 今日もこっそりその場を抜け出して、光の塔にあるラビの部屋に戻ってきていた。



 大地はラビのベッドにゆっくり腰を下ろし、自分の旅行バッグの整理を始めた。

 大地は明日、この月を離れて地球へ帰らねばならない。

 ということは、ラビやガスとも別れなければならないということだ。

 それなのに、3人で過ごす時間がほとんどないことに、少々不満を感じていた。

(耳長族の人たちはみんないい人だけど…ちょっとぐらい解放してくれたっていいのに)

 そう思いながら、持ってきたオルゴールに手を伸ばし、この旅行で起こった出来事に思いを馳せた。



(このオルゴールが、全ての始まりだったんだなー…)

 単なる観光で来たつもりだったのに、そこで光の魔動戦士としてこんな不思議な冒険旅行をするなんて。

 それまでの大地の生活からは想像できない、奇想天外な出来事のオンパレードだった。

 窓から見える地球にふと気づき、大地は顔を上げた。

(明日の今頃は、母さんの手料理食べてるのかなぁ)

 地球へ帰って早く母親の顔が見たい。そして月での話をいっぱい聞いてもらいたい。

(だけど―…)

 大地はなんだか、心にぽっかり穴が開いたような気分だった。

 グランゾートという魔動王と出逢い、自分と同じ魔動力を持つラビ、ガスという、かけがえのない仲間を得た。

 地球へ帰ると自分には自分の生活があって、ラビにはラビの、ガスにはガスの日々がある。

 今度会えるのなんか、いつになるか分からないのだ。

(あいつら分かってんのかな、オレたち明日、離れ離れになっちゃうこと―…)

 迫りくる別れに大きな不安を感じているのは、もしかして自分だけなのだろうかと思うと、大地は胸が苦しかった。



 自分で改造したジェットボードを旅行バッグに丁寧にしまいながら、大地はふと、先程の宴会でのラビの姿を思い出した。

(チェッ、ラビのヤツ、女のコに囲まれてデーレデレしちゃってさー)

 人が感慨深く別れを惜しんでいるのに、ラビはそんなことなんとも思ってないように思えて、大地は口を尖らせた。



 最初にラビに会った時、印象は最悪だった。

 生意気で口が悪く、平然と『一文にもならないことはしない主義だ』とのたまった。

 あげくの果ては魔動石を盗もうとする泥棒で、大地が今まで会った人間とは明らかに違うタイプだった。

 だが一緒に旅しているうちに、そのとんがった態度が実はポーズで、本当は面倒見のいい、心の優しいヤツだと分かった。

 大地は、だんだんと心を開いていくラビを思い出す。

(ラビが楽しそうに笑うの見ると、なんか分かんないけど、すごく嬉しかったっけ…)

 旅行中は何度もケンカしたし、衝突した。でも、あの憎まれ口を聞くのも残りわずかだ。

 大地はそれを思うと寂しくて、思わず泣きそうになっていた。



 その瞬間、ガチャッ…と扉の開く音がした。

「いねェと思ったら、こんな所にいたのかよ」

「…ラビ…」

 ラビはゆっくりと大地に近づき、隣に腰掛けてきた。

 大地は涙で潤んだ瞳に気づかれまいと、慌てて目をそらして荷物の整理を続けた。

 それを黙って見ているラビ。

 妙にシンと静まり返っている中、ラビが口を開いた。

「…明日、帰るんだっけな」

 ラビから初めて自分が地球に帰ることに触れられ、大地は胸がズキン…と痛んだ。

 ラビの口調はどことなく寂しそうで、大地はまた泣きそうになってしまう。

「うん…」

 返事をしたもののラビが何も言わないので、大地はしんみりとした気分を吹き飛ばそうと、からかい気味に言った。

「ラビ、いいのかよ、こんなトコ来て。可愛い女のコに『マリウス様〜』って囲まれて、楽しかったんじゃないのォ?」

「いや、あんまりにもモテすぎちゃって、オレの取りあいが始まっちゃあまずいから抜けてきた。ホンットいいオトコは辛いぜ」

 ラビ本来の物言いに戻ったことを、大地は少しホッとしながら続けた。

「でもオレ驚いちゃったよ。ラビが本当は『マリウス=フォン=ラーマス』って名前で、Vの称号を持つ魔法使いの一族だったなんて」

 大地はラビの名前が『マリウス』だと知った時、なんだかラビが遠いところに行ってしまった気がして、妙に寂しかったことを思い出していた。

 ラビは肩をすくめて笑う。

「オレだって驚いたサ。なんかめんどくせぇけどな」

 大地はそれを聞いてクスクス笑って、あることに気づいた。

「あっ…オレ普通にラビって言ってるけど、これからはマリウスって呼んだ方がいいのかな?」

 するとラビは、照れ臭そうにブラブラと振っていた脚を止めたかと思うと、真顔で大地に向きなおった。

「やめろよ、お前は今まで通りラビって呼べよ。本当の名前が分かっても、お前には…お前にだけは、ラビって呼ばれたほうがいい」

「……っ!」

 大地はそれを聞いて、自分の鼓動がドクンと大きく跳ねたことに気づいた。

「そっ…そうだね。オレもラビのこと、他の名前で呼ぶ気になれないよ」

 大地はそう答えながら、ラビの意味深な発言に頬が赤くなった。

(オ…オレにだけはって…?ガスやバァちゃんたちもいるのに、なんでオレにだけって…)

 ラビは自分の言ったことにハッとなって、大地と同じく顔を赤らめている。

「いっ…今さら大地に『マリウス』なんて呼ばれるとなぁ、調子狂うしなっ」

 頭をかきながら取り繕うように笑うラビ。

 この闘いで育んできた2人の関係を、ラビが大事に思っている気持ちが痛いほど伝わってきて、大地は無性に嬉しかった。

 その反面、近づいてくる別れを惜しむ気持ちが急激にわいてくる。



 その思いに大地が押しつぶされそうになった時、ラビが意を決したように口を開いた。

「大地…オレ、お前のことが…好きだっっ!!」

「え…?」

 急な話の展開に大地はついていけず、ラビの顔を見た。

 ラビはもう、これ以上ないほどに顔を真っ赤に染めている。

「ら…ラビ…それってどういう…?」

 勇気を出して言った言葉の意味を問い返されて、うっ…と詰まってしまったラビだったが、勢いづいた気持ちに歯止めはきかなかった。

「分からねぇのかよっ!オレはお前が特別に、その…好きだって言ってんだよっっ!!」

 ピンと来ていない大地に対するもどかしさで、ついついケンカ腰にそう告げるラビ。

 それがあまりにもラビらしいと言えばラビらしいのだが。

 あまのじゃくで素直じゃなくて、いつも斜に構えているあのラビから、これ以上はないというくらいストレートな告白をされた大地は、それこそこれ以上はないというくらい驚いた。

(オレのこと特別に好きって…ラビが?女のコ大好きなあのラビが!?)

 混乱する大地に、照れ臭そうな表情でラビは続ける。

「…お前を地球に帰したくねぇってくらい…好きなんだよ」

 幼い自分たちには、どうしようもできない別れを意識したラビのその告白に、途端にせき止めていた想いが大地の胸に溢れた。

「―…っオレも…地球に帰りたくないっ…!ラビとこのまま一緒にいたいっっ…!!」

 ポロポロと大粒の涙が、大地の頬を滑り落ちる。それを拭おうともせず、大地は肩を震わせた。

「なっ…大地、泣くなよっ」

 ラビは焦って大地の肩をさする。大地はしゃくり上げながら、言葉を続けた。

「うまく言えないけど…っっ、地球に帰って家族のみんなに逢いたいのに、帰りたくないんだ…!ラビと離れたくないんだよっ!」

 矛盾した2つの思いに自分でも戸惑ったが、これが大地の正直な気持ちだった。

「大地…」

 ラビの瞳も潤んでいる。

 大地はまだ幼すぎて、誰かを特別に好きだという気持ちを自覚したことはなかった。

 だが、今気づいた。

 ラビが女のコにちやほやされているのを見ておもしろくなかったのも、ラビの笑顔を見て嬉しかったのも、マリウスという名前だったラビを遠くに感じてしまったのも、

大地の中でラビが特別な存在だからだ。

 V−メイ、ガス、グリグリ、みんな大好きだったが、一緒に旅した仲間の中で一番離れたくなかったのが、ラビたっだ。



「オレもラビのこと…好きだ」

 大地はラビをまっすぐに見つめてそう告げた。

 涙をいっぱいにためた大地の瞳に自分が映る。ラビはそれを見て胸が締めつけられるようだった。

 2人の想いは全く同じ。ラビはそう確信して、そっと大地の頬に手を伸ばし、ゆっくりと顔を近づける。

 ラビの整った顔が間近に迫って大地は驚いたが、そのままきゅっと目をつぶった。

 2人の口唇が、重なる。

 互いの口唇は柔らかく、心地良い陶酔感がラビと大地を包み込んだ。

 いつくしむように大地の口唇を軽くはんで、ラビは壊れ物を扱うように、大事そうに抱きしめた。

「大地…」

 大地の耳元を、ラビの吐息がくすぐる。

 キスしたことと、そのこそばゆさに大地は真っ赤になったが、自分を優しく包み込むラビの存在がたまらなく愛しくて、その背中に腕を回した。

 ラビのものか自分のものか区別のつかない、ドクン…ドクン…という大きな鼓動の音が聞こえる。

 ラビはもう一度、大地に口づけた。

 重ね合わせるだけのキスとは違い、ラビは大地の口唇を割って、その中に舌を侵入させる。

「ぁっ…」

 大地は小さく声を上げ戸惑って身を逃そうとしたが、絡めとられた舌をちろちろと愛撫されて、力が抜けていった。

「んふっ…はっ…」

 吐息と共に口唇の隙間からこぼれる大地の甘い声に、ラビはもう自分を抑え切れなかった。

 ラビの手は大地の上着をするりと脱がすと、タンクトップの中に滑り込む。キスしただけでもすごいことなのに、自分の身体を他人に初めて触れられて、大地は困惑した。

「なっ…ラビ、何してんだよっ」

 ラビは大地のすべすべの肌を優しくまさぐりながら、熱に浮かされたような顔で言った。

「大地…オレもう、我慢できねぇ」

「ひゃっ…!!」

 大地の胸にある小さな突起を気ぜわしく引っ掻いて、ラビは大地をベッドに押し倒した。

「ちょっ…ラビっ…!」

 今から何をされるのか全く分からない大地は、焦って起き上がろうとしたものの、ラビが強く押さえつけているので敵わない。

 ラビは焦っていた。

 大好きな大地が、自分のことを好きだといってくれた。互いを思う気持ちは、2人とも同じだったのた。

 それなのに明日には、大地と離れ離れになってしまう。そんなの、辛すぎる。

 でも大地が地球に帰ることは、どうしようもない。

 それならばいっそ、2人の間にもっと深い関係を作ってしまいたかった。

 もちろんこんなこと、今まで誰ともしたことがない。やり方など分からないが、大地を自分のものにしてしまいたかったのだ。



 ラビは大地のピンク色の乳首を口に含み、レロレロと舌を這わせる。

「くふっ…うぅんっ」

 その声に自分で気づいた大地は、恥ずかしくてたまらなかった。

 大地の頬は上気して、未知の感覚に耐えるため眉根が寄せられている。

 その表情がなんとも言えず色っぽくて、ラビはますます興奮した。突起を思い切り吸い上げると、大地の声は高くなった。

「あぁんっ!!」

 大地は自分の下半身が、なにやら熱を帯びていることに気づいた。

 その瞬間、そこをズボンの上から触られて、ビクリと身体をこわばらせる。

「はっ…!ラビ、どこ触ってんだよ!」

「どこって、大地のチンチンじゃん」

 ぬけぬけと答えるラビに、大地は息も絶え絶え抗う。

「やめろよ、ラビのスケベっ」

「やめないね!お前は明日地球に帰っちまうんだ。その前にオレはオレのこと、お前に刻みつけてやるんだ」

「……!!」

 カチャカチャとベルトをはずして、ズボンとパンツを脱がし、大地の固くなったペニスを露にする。

「あっ…!」

 大地は真っ赤になって両手で隠そうとしたが、ラビは容赦なくそれを払いのけて、そこに手を伸ばした。

「んん!」

 ゆっくりと上下にさすられて、大地は気持ちよさのあまり身体をビクビクと震わせる。

「大地…」

 ラビは大地の耳元で囁きながら、自分の身体を大地の身体に密着させた。ラビの性器も大きくなっていることが、大地にも分かる。

 むずがゆいような、ビリビリするような、とにかく経験したことのない感覚に囚われて、大地は自分がどうにかなってしまいそうだった。

 大地は自分のペニスをこすり上げるラビの手を止めようとしたが、どんどん激しくなるその愛撫に何もできず、ラビの腕に自分の手を添わせるだけになってしまう。

 そのことが大地に「もっと」と乞われていると錯覚して、ラビは手の動きを増長させていった。

「あっ…あん、っあぅ!」

 大地のペニスはラビの手の中でどんどん硬度を増していく。すると急に、突き上げるような感覚に襲われた。

「…!!ラビ、ラビ…っ!オレ、なんかっ…!!」

 ぶるっ…と身体を震わせる大地を見て、ラビは囁いた。

「よし、イケよ」

「ふぁ…あぁっっ!!」

 優しい声に反してラビの手は容赦なく大地を追いつめ、ついに高みへと昇りつめた。



 ビクン、ビクン…と身体を何度か痙攣させて、白濁を放った大地が少し落ち着くのを待ち、ラビはその脚を大きく開いた。

 絶頂の余韻でまだ頭がよく働かない大地は、ぼんやりとそれを見ていたが、ぬめるような感覚をあるところに感じてぎょっとなった。

「あぅっ、ラビ…そんなトコっ!」

 ラビは構わずに固くした舌で大地の蕾を刺激する。

 ゾクゾクと湧き起こるなんともいえない気持ちよさに、大地はもう何も考えられなかった。

「んぅ、ふぅっ…あんっ」

 大地の蕾は綺麗なピンク色で、それが自分の愛撫によって収縮を繰り返す。ラビはもう夢中になって、そこを舐めた。

「んっ…ら、ラビのヘンタイっ」

「…お前なー、さっきから人が大人しく聞いてりゃ、スケベだのヘンタイだの好きなコト言ってくれるね…」

 ラビは大地の脚の間から、呆れ顔でため息をついた。

「…だって、こんなヘンなこといっぱい…ホントのことじゃないかっ…」

 ラビはそれを聞いて、意地悪い笑みを大地に向けた。

「オレがヘンタイってんなら、お前だってそうだと思うぜ?そのオレにこんなことされて、立派にチンチン大きくしてるんだもんな」

「っ!!」

 確かに、今の蕾への愛撫で、大地のペニスはまた上を向いている。

「素直じゃないねー、大地クン?」

「うるさいっ!!」

 大地は真っ赤になって怒ったが、ラビは気にせず笑って言った。

「ココはこんなに素直なのに」

「あんっ!」

 ペニスの先端を人差し指でつついて、ラビは張りつめているそこを一気に咥えた。

 大地はぐんっ!と背中をしならせた。ラビは唾液の音を立てながら大地のペニスを舐め、そっと蕾に指を這わせる。

 前への溶けるような愛撫に加え、蕾に円を描くように触れられて、大地は気が狂いそうだった。

「んっくっ!あっ…あっ!」

 ラビは大地のペニスを愛しそうに口に含み、頭の部分を刺激する。

 ピンク色のそこからは透明な液体がじんわりとにじみ出て、隠しようのない大地の快感を物語っていた。

 ラビはだんだんとほぐれてくる大地の蕾に、ゆっくりと指を入れていった。

「ひっ…!!」

 大地は思わず逃れようとしたが、ラビの指は大地の中にどんどん進入し、第2関節まで飲み込んでしまった。

 大地が動けずにいると、ラビはもう1本の指を挿入する。

「んくっ!い…いたっ!」

 のけぞって痛がる大地を安心させようと、ラビは大地の背中に腕を回して抱き寄せた。

 そしてやんわり指を出し入れさせると、大地はラビに抱きついてきた。

「いっ…や…はぁっ、あんん…」

 自分の中でラビの指が動き回る。こんなことされて、今まで出したことのないような、妙な声を上げてしまう自分は一体どうしちゃったんだろう…と心の隅で思う大地。

 だがラビの指の動きに翻弄されて、大地はされるがままになっていた。

 ラビは自分の腕の中で震えている大地を見ていると、もうたまらなくなって指を抜いた。

「あ…」

 ぼうっとした顔で大地に見つめられ、ラビの頭も芯から熱くなっている。

「ワリィ、大地…」

 そう言ってラビは大地の脚の間に入り、固くなった自身を大地の蕾にあてがった。

「え…ラビ…?」

 何をどうするのか予想のつかない大地に構わず、ラビは腰を進める。と同時に、大地の中にラビ自身が入ってきた。

「あっ…うぁっ!!」

 指などとは比べものにならない、強い痛みが大地を襲う。大地はそれから逃れようと、反射的に身体を上にズリ上げた。

 ラビは全てを大地の中に収めようと、大地を追いかける。

「やっ…いたっ!痛いっラビっっ!!」

 大地はもう半泣きで痛みを訴える。だがラビは大地を気遣えるほど余裕はなく、じりじりと自身を進めていった。

「ひぁっ…痛いってば!!」

「くっ…力抜けって、余計痛いぞ」

「あぅっ…無理!!」

 大地は痛みをこらえるあまりぎゅっと目を固く閉じている。その目尻からは、涙が伝い落ちていた。

 ラビはそれをそっと拭ってやり、そっと大地のペニスに手を伸ばして軽くなで上げた。

「はっ…」

 大地の力がわずかに抜けたと分かると、ラビは自身を全て大地に挿入した。

「んっ…!!い…っっ」

 ラビは大地にペニスをきつく包まれて、えもいわれぬ充足感を覚えた。そしてゆっくりと、前後に動き出す。

「あっ!らっ…ラビぃっ!!」

 大地はググッと全身に力を入れる。苦しそうな大地を見て、口唇に口づけた。

「……っ…」

 大地の表情が少し和らいで、ラビはホッとした。大地の中は熱くて、ラビのペニスに吸い付いてくる。

 大好きな大地と一つになれたことが嬉しくて、ラビは強烈な快感を感じた。

「大地…大地ィ…」

 鼻にかかった甘い声で自分の名を呼ぶラビを間近で見て、大地はその背中に腕を回し取りすがった。

「あっ…くっ…ラビっ」

 目の前にいるラビが、もう明日には遠く離れてしまう。そう思うと大地は悲しくて、その存在を確かめるようにぎゅっと抱きしめた。

 それはラビとて同じで、別れを払拭するように大地の口唇を貪った。

「あっ…あっ!」

 大地を揺さぶるラビの動きが早くなる。

「うぁ…ラビッ…!!」

「大地…オレもう…っ…!」

「オレもっ…ラビィっ!!」

 2人は互いを抱きしめて、絶頂を迎えた。



「うぅ〜…」

 ズキズキと痛む腰をさすりながら、ベッドの上で大地はうなった。身体が全く動かせない。

(くそ、ラビめ…こんなんで明日地球に帰れるのかな?)

 心の中でラビを少々恨んでいると、ふと視線を感じて瞳をそっと開けてみた。

 見ればラビが慈しむような眼差しで自分を見つめている。

 あったかくて、それでいて精悍な表情。こんなラビの顔は、今まで見たことがなかった。

 一瞬ドキリとした大地に、ラビは言った。

「離れても、オレのこと忘れんなよ」

 大地はそれを聞いて、胸の奥がきゅっ…と締めつけられるようだった。だめだ、このままじゃまた泣いてしまいそうだ。

「忘れるわけないじゃないかっ。こんなスケベなラビのことっ…ぃっ…!」

 喋った拍子にズキン、と全身に痛みが走ったが、大地は照れ臭くてついつい冗談めかしてしまう。

 それを聞いてラビは負けじと言い返した。

「だーかーらー、それ言うならお前もスケベだって言ってんだろーが」

「何ィっ!」

 こんな状況でもケンカする自分たちに、2人は思わず吹き出した。

「プッ…」

「ハハっ…アイテッ」

 笑った反動でまた痛がる大地の頬に擦りより、ラビは微笑んだ。

「何でもいいや、大地がオレのこと忘れないでいてくれるんなら」

 大地は幸せそうにそう言うラビが愛しくて、ぎゅっと抱きしめた。

「忘れない…忘れるもんか」

 ラビは頬をカァッと染めた。大地はそれを見て、ふふっと笑う。

「ラビ、約束しよ」

「な、なんのだよ」

「いつかまた、必ず逢おうって約束」

「あ…ああ」

 ラビは恥ずかしくて頭をかきながら、大地と指切りげんまんした。

 幼すぎる、あまりに子供じみた当てのない約束だったが、約束したという事実がこの先どれだけ2人の支えになるか、ラビは充分に分かっていた。

 絡みあった小指を離す気になれず、大地とラビはそのまま眠りに落ちていった。



 次の日。

 大地は帰りのシャトルの中で、一人膨れていた。

 大地の隣にはラビがいる。それどころか、後ろの席にはガス、V−メイ、グリグリの姿が。

「一緒に地球に来るってこと、なんで黙ってたんだよ」

「知らねぇよ、オレだって今さっき聞いたとこなんだから。文句があるならバァさんに言えよっ」

 まさかラビたちが月で福引旅行を当てて、大地と共に地球に来ようとは。

 昨日の感傷は、一体なんだったんだ。昨日のラビの告白は、昨日のラビとのアレは…!!

「そんな怒るなって。…いいじゃん、一緒にいられる時間が増えて」

「そりゃまぁそうだけど…」

 少し赤らむ大地の耳元で、ラビはこそっと囁いた。

「また昨日みたいなこと、できるな」

「……!!」

 真っ赤になった大地にラビが殴られたのは、言うまでもなかった…。



−END−




後書きという名の言い訳

   本番ありのお話です。

   月旅行が終わって、大事な仲間との別れを経験する少年たち。

   グラン同人するならこれはずしちゃいかんだろ〜〜!ってなぐらい、ネタとしてはあまりにも使い古されたものに挑戦してみました。

   その結果、難産で非常に苦しい思いをすることに…。

   ここにエロシーンをぶつけるから、ダメだったんでしょうか。

   
そのエロシーンも割りと普通です。(他に何企んでんだよアンタ!)

   キャラクターの心理描写が難しく、私にシリアスチックな話は無理だと認識した作品ですね。

   でも、いちいちケンカするラビと大地はいい味出してると思う(笑)


   余談ですが、コレを執筆中、料理してたら指をすっぱり包丁で切ってしまって、流血事件に…。

   しかも切ってたのがニンジン。だ、大地の呪いか!?