永遠なんて
永遠なんてないんだと、誰かが言っていた。

形のあるもの、ないものに関わらず、永久に変わらないものはないんだと―――。




最初はさ、無性に腹が立ったんだ。

大地のヤツ、「魔動戦士」だ「3人目」だのと、訳分かんねぇこと抜かしやがって、

あげくの果てに「邪動族」を倒すために一緒に戦おう、なんて。



誰にも何にも縛られず、気ままに生きてきたオレに取っちゃ、

損することはあっても得になるようなことなんてひとつもない話。

正直めんどくさくて、「そんなの知るか」って感じだったよ。



オレよりチビだし、力もなさそう。

ちょっとからかえば、本気でつっかかってくる。

そんな大地は、いかにもぬくぬくとあったけぇ家庭で愛されて育った世間知らずのガキで、

いくら魔法使いのバァさんや力自慢のガスがいても、邪動族とやらと張り合えるようなタマじゃない。

荒唐無稽もいいところだ。

どうせ途中で音を上げて、恋しいお母さんのいる地球に泣いて帰っちまうんじゃないの?

ってくらい頼りなげだった。



でもさ、違ったんだ。

どんなに強い相手でも、どんなにヤバイ状況でも、アイツは泣き言を言わなかった。

それどころか、明るく笑ってどんどん前に進んでいくんだ。

オレにもアイツにも、ちょっと形は違うけど「魔動力」ってのがあって、

大地のそれが日増しに強くなっていくのが伝わってきてさ。

気づいたら、負けていられねぇなんて、ガラにもなく懸命に邪動族と戦う自分がいた。

ったく、調子狂うぜ、このクールなラビ様が。



オレは幼い頃からひとりぼっちだった。

育ててくれたジイさんや、人のいい海賊のオセロとドミノは別にして、

信用できる人間は一人もいなかった。

この長い耳のおかげで、イヤというほどだまされたり迫害されてきたからさ。

素直に感情を出しても、辛い思いをするだけ。

それならクールにいた方が、よっぽど気が楽だった。



大地から放たれる、強烈な光。

万物がひれふすほどの圧倒的な光は、何も太陽王に庇護されているからというだけじゃない。

アイツの強さは、汚れのない無垢な精神によるものなんだ。



今思うと、大地に無性に腹が立ったのは、その明るさだったんだろうと思う。

気持ちを素直に表現できて、それでもみんなに愛され囲まれてる。

それが、うらやましかったんだ。



それなのにいつからだろう、大地に対する反発心が消えていったのは。

どんなときにも前向きで、明るく屈託のない笑顔を見せる大地。

知らず知らず、オレも自然に感情を出してた。

そしていつからだろう、大地のことを特別に―…好きだって思ったのは。



言っとくけど、オレは女の子大好きだぜ?

綺麗で華やかで、一緒にいると理屈なく楽しい。

でも大地といると、もっと楽しくて嬉しくて、独り占めしたくなる。

そう思えるのは大地だけ。

オレだけに笑っていてほしいと思うのは、オレが欲張りだからかな?




――永遠なんてない。

誰が言ったかもう忘れちまったけど、オレもそいつと同意見だし、その思いは大地と出逢えた今でも変わらない。

でも少し違うのは、永遠を願う気持ちが生まれたこと。

無理だって分かってても、願わずにはいられないんだ。



できるだけ長く、大地のそばにいたい。


そばにいて、あの日なたみたいな笑顔を見ていたい。


そしてオレも同じように笑っていたい。



一番近くで、笑っていたい。



−END−



後書きという名の言い訳

   大地に対するラビの想いです。ややポエム風?

   他にも色々なラビ×大地を考えていますが、どんなお話でもここに書いたラビの気持ちは基本的に変わりません。

   心を閉ざしていたラビが出逢った、陽だまりのようなあったかい大地。

   そりゃぁおいそれと手放すはずござ〜ません!

   ちょっぴりヘタレなんだけど、男前。そんな相反する部分を持った、私のラビ像です。

   ラビは大地より繊細な気がするんだよね〜。

   だから、こういうラビ一人称の切ない想いは書きやすかったです。

   目指せ、切ない系!!