大地は力が入らないのか腕は畳の上にしどけなく投げ出しており、左右の脚はそれぞれを支え合うべく膝と膝を合わせ、やや内股気味に立てていた。
「………」
クロマサはふと大地の脚の間に視線を移す。
太もものつけ根中央辺りに柔らかそうでいてころんとした小さな陰嚢があり、その下にはすべすべした肌が作る可愛い割れ目が見えた。
おもむろにクロマサはそこに近づいていった。
そして立てられている大地の膝の裏をそれぞれ両手で掴み、そっと割り開く。そのまま掴んだ脚を大地の身体の方に押し返して、お尻が上向きに
露出されるような体勢をとらせた。
その中心にある菊門の両脇に親指を添える。クロマサはそこをまじまじと見つめ、鼻息を荒げた。
大地はクロマサが何かゴゾゴゾと動いているのはわかっていたが、まだ頭の感覚がぼぅっとしていて大きな注意を払っていなかった。
いきなり、菊門に柔らかいものが触れた。
それはにゅるにゅるとその部分のしわをなぞってくるので、大地はくすぐったくて肩をすくめた。
「ッッ」
「へへ…デビュー予約は小泉様だったなァ。だったら舐められることに慣れてないと」
小泉のことは口実に過ぎなかった。とってつけたような理由で、クロマサは大地の身体をすみずみまで堪能したかったのだ。
「オレァここに勤めて一年ちょいだが、名門のガキには一度もお目にかかったことがねェ。ちょいとどんな具合か観察させてもらうぜェ?」
「ん、くぅ、」
また『めいもん』と言われた。
それは中村屋にとっていいことのように男どもは喜ぶが、それによりこんな風に珍しがられて執着されるのは大地にとって嫌なことでしかない。
ぬめ…、ぬめぬめ…と、明確な意図を持ってお尻の穴を這いまわる舌。
その舌使いはさっきのキスや乳首、尺八と比べ、ひと際ねっとりとした粘着質なものであった。
同じ部分に触れられても、昨日シャマンに指で状態を確認された時には感じなかったみだらでおぞましい印象を受けた。
「っあ〜、たまんねェなァガキのケツ…あぁ、はぁ…」
「んんっ、やっ…」
大地はのけぞってクロマサの責めから逃れようとしたが、もちろんクロマサはがっつりと太ももを掴んでそれを許さない。
「何言ってんだ、これぐらいで。小泉様はこれが大好きなんだぞ。ガキンチョのケツならひと晩でもふた晩でもず〜っと舐めてられる、子どもの
菊門舐めマニアのお方なんだ。ほれ、ご主人様大絶賛の中も舐めてやんぞ」
尖らせた舌を菊門に挿入する。ドリルのようにそこを掘りつつ周りの壁を舐め上げる。
「ひん、あっ…!やだァ、やだっ、やっぁ」
こんなところをいやらしく貪られることが恐怖だった。
しかし大地が拒絶の悲鳴を上げれば上げるほど、クロマサの行為は激しくなる。
「おぉ、オレの舌を柔らかい肉で押し返してきやがる…でもってふわふわまとわりついてきて…ひひ、これが名門かァ」
感触を確かめたいがために可能な限り奥へ奥へ、またあらゆる場所へ舌を伸ばしてくるクロマサに大地は不快感が増大した。
「うぁぅ、やめて、いやっ…、やぁ!!」
「んー?おちんちんがまた勃起してやがるぜェ。いやだいやだっつっても、やっぱお尻は気持ちいいんじゃねーか。いやらしい子だなお前は〜」
お尻への刺激で大地のペニスが大きくなったことが嬉しいクロマサはそこに手を伸ばした。
そして菊門への愛撫を続けながら、幼いものの自己主張しているおちんちんを上下にこすり始めた。
大地はたまらなかった。
クロマサの手の動きだけでも阻止しようと腕を伸ばしたが、逆に彼は違う手でそれを掴んで指を絡ませてくる。
嫌悪から大地はすぐさまそれを振りほどいた。
「あくん、ふぅっ…や、あっ…〜〜〜」
菊門の中をえぐる舌の動きとペニスをこする指の動きが連動したかと思うとバラバラになる。
また菊門の入り口をゆっくり舐めているのにペニスを激しくこすったり、その逆もしかりで、クロマサは様々なパターンで大地を巧みに責めた。
「ううん、あっ、また…また、あれがッッ…」
大地の身体に力が入り始めた。
そうなってくるとクロマサは皮に隠されてはいるがおちんちんの亀頭と竿の境目の段を見つけて指を伸ばし、くりくりと蛇口をひねるように
優しく撫でた。
そして同時に、菊門に硬い舌をぐりっと突き立てた。
「んんんッッッ!!!」
大地は小さく声を上げながら身を固くして、二度目のオーガズムを迎えた。
クロマサは大地のペニスをこすりながら、その先端に掌をあてがっていた。しかしと言うべきかやはりと言うべきか、まだそこに白いものが
飛び散ることはなかった。
「ひひ、ケツの穴だって充分気持ちいいだろう」
興奮状態で少年を責め続けたクロマサは、ぜいぜいと肩で息をしながら大地を満足気に見つめた。
大地も同じように胸を上下させて、息を荒げていた。
先ほどと同じく大きな快感の波が完全に引ききってはないらしく、その感覚にぼぅっと身をゆだねている。
クロマサはそんな大地を静かに見下ろした。
今まで何人もの見習いたちの研修を行ってきたが、それは尺八だけ、挿入だけ、という部分部分での接触でしかなかった。
そりゃあその合い間に、子どもたちの身体を味見感覚で軽くお触りはしてきた。
だが『セックスの流れ』という、たとえ名目でもほぼセックスと同じ形でここまで濃密に触れ合うことは、いまだかつて行ってはいなかったのである。
たったふたりきりでの実技研修。
ゆえにいたずらのフルコースを行い、大地はあまりのショックにぐったりと身を投げ出している。
この少年は性的知識がまったくないのだ。なのに、オレに好き放題に身体を弄ばれてしまった。
彼の意志に関係なく、デビューした後は百戦錬磨のプロの陰間として生きていかねばならない。
その『最初の一歩』が自分なのだ。『今この時』なのだ。
しかも、この子ども自身は自覚がないだろうが、名門という陰間の武器でも最大のものを持っている。
男を知らない、一度も男を迎え入れたことがないこの菊門は、陰間になったその日から男を骨抜きにする極上の代物なのだ。
そう思うとクロマサは、自身の中にむくむくとまた大きな性的欲求が生まれるのを自覚した。
股間のふんどしに視線を移す。
大地にいたずら三昧を行った果てにそこは自覚する最高レベルで勃起していた。ギンギンと張りつめ、痛いほどだ。
しかも先走りが大量に溢れ出していて、前袋の布地の大部分が湿っていた。
「………」
畳に寝転がったままの大地に、クロマサはおもむろに覆いかぶさった。
ゆっくりと快楽の波が引いていく気だるさに身を任せていた大地は、目を閉じていたもののまぶた越しでも視界が暗くなったため小さな異変を
感じてふと目を開いた。
すると、そこには真剣な顔で自分を見つめるクロマサの顔が間近にあり、大地は驚いた。
「!」
クロマサはその反応を見て、さらに大地に密着する。そして頭をぐっと下げて耳元に寄り添い、小さく呟いた。
「ぁ〜〜〜…ハメてェなァ…」
大地は最初、なんのことだかわからなかった。
クロマサが頭の位置はそのままに若干姿勢を変えた時、先ほど弄られていた菊門に何か大きなものが当たる感触があった。
「……?」
ゆっくりと大地は首を上げた。
阿修羅像の柄のあるクロマサの胸や腹と、自分の胸や腹とが対面しているわずかな隙間から、少しだけ向こうが見えた。
ちらり、と一瞬覗き見えたもの。
それは…。
「ひ…っ!」
剥き出しになったクロマサの魔羅が、大地の菊門に伸びている。
小泉より二十は若いであろうクロマサの魔羅はビクビクと血気盛んに脈打っており、遠目にもかなり興奮状態であることが伝わってきた。
クロマサの魔羅は、しっかりと大地の菊門に向かっている。
『ハメてェなァ』とは、まさか。
大地の視界が揺らいだ。
鈴口を愛し気に大地の菊門に擦りつけて、クロマサは情けない声で再びひとりごちた。
「でもな〜、御法度なんだよなァ〜…研修予定と違うことすんのもダメだし、ハメたところで最後までヤレねェし…午後の研修でシャマンのヤツが
気づいちまうだろうしな…」
顔をがっくりと伏せて、大地の耳元で心の葛藤を吐露する。
「うぅ〜」
悶々とする胸の内に唸りながら、クロマサは顔を上げて壁掛け時計を見た。
時刻は十一時を少し過ぎたところだった。
十二時になれば午後の授業を終えた見習いたちや教育係が、教室を出て自由に建物内をうろつき始める。
そうなると決行は不可能になると言っていい。
ならば、今しかない。
クロマサの目がギラリと光った。