絆 9
 中条以下4人の家臣、それに何人かの警護の者を従えて、殿と大地之助は離れの風呂に行った。

 2人きりで浴槽につかっていると、心なしか大地之助は顔をうつむかせている。

「ん?どうした、大地之助」

 殿は心配になって大地之助の顔を覗き込んだ。

 大地之助はハッとして頬を赤らめた。

「ひっ…久しぶりにこうして殿と裸でいると、急に恥ずかしくなっちゃって…」

 視線を湯船に落とす大地之助。殿はフ…と笑った。

「私は京都で、毎晩大地之助のことを思って自慰をしてたぞ。お前も寂しかっただろう?」

「う…うん」

 ますます顔を赤く染めて、大地之助は言った。

「僕、江田さんに殿の肌襦袢を一着出してもらって、ずっと隣に置いて寝てたんだ。そうしてると、殿と一緒にいるみたいな気がして」

「そうなのか…」

 殿は風呂の中で大地之助を抱き寄せ、口づけた。



 久しぶりの接吻。2人は逢えなかった5日間を埋めるがごとく、深く深くお互いを求める。

 大地之助は両腕を殿の首の後ろに回して、身体をぴたりとくっつけ合った。

 絡ませた舌を一旦離して、大地之助は夢心地の表情で囁いた。

「…それでね、殿の襦袢見てたら、その…おチンチンが大きくなっちゃって…初めて自分でしたんだよ」

 殿はそれを聞いて、頭の芯が一気にカーッと熱くなるのを感じた。

 何も知らなかった大地之助が、自分を悦ばそうと色々な性技を覚えてくれている上に、自分を思い自慰までするとは…。

 こんな健気な大地之助をかどわかそうとした安井達が、殿は心底憎らしく思えた。



「大地之助、あの男達に触れられた場所を言ってごらん。私が全部消毒してやる」

「殿…」

 大地之助は驚いた顔をしたが、すぐに殿に促されるまま言った。

「み…耳…」

 殿はそれを聞いて、おもむろに大地之助の耳に口づける。5日間待ちわびていた者に触れられて、大地之助はとろけそうだった。

「あっ…ぁっ」

「こっちもかい?」

 殿の口唇は、大地之助のもう片方の耳を這う。

「ぅっ…うんっ…ふぁっ」



 大地之助の切なげな甘い声が聞こえ、窓の外にいた中条・江田・田崎は思わず覗き見た。

「ヤバいんじゃないですか?」

 ヒソヒソ声で止めようとする五代を睨む3人。

 五代はいけないと思いつつも、好奇心で同じように窓から大地之助たちの睦み合いを拝見させてもらうことにした。



 大地之助は首筋に移動して愛撫している殿を潤んだ目で見ながら囁いた。

「殿、ごめんね…出張から帰ってすぐでお疲れなのに…」

 殿は今なお自分を気遣ってくれる大地之助にクスクス笑って答えた。

「疲れてるもんか。大地之助といられるだけでそんなもの吹き飛ぶさ。ほら」

 殿は湯の中にある自身の股間を指差した。

 そこには、立派に上向いている殿の魔羅がある。大地之助はお湯越しにそれを見て、恥ずかしくて真っ赤になった。

 そんな大地之助をぐいっと持ち上げ、浴槽横の手桶を置く台に座らせる殿。

 そして胸に顔を埋めながら殿は消毒を続けた。

 桃色に色づいた突起を舌でチロチロと舐める。

「ここも…いじられたんだろう?」

「ん…んくっ…ぁっ、ぁっ…」

 大地之助の身体がビクビクと震える。

 殿の執拗な舌責めは、あの男たちに対する嫉妬心によるものだ。

 それが大地之助にも伝わって、おチンチンは一気に膨張した。

 殿の頭はどんどん下に降りていく。

「ここからは、特に念入りにしなきゃな」

 そう言って殿は大地之助自身を口に含んだ。

「はぁんっ!」

 先端の桃色の割れ目を固くした舌でなぞる。そして円を描くように丸く亀頭を舐め上げ、勢いよく全体を吸い上げた。

「あっ!くんぅ、とっ殿っっ!もう僕っ!!」

 玉を揉まれて尺八される大地之助は、たまらず殿の頭をかき乱した。

「いいよ、イキなさい」

 そう言って殿はじゅるじゅると音を立てて顔を前後に揺らし、大地之助を追いつめた。

「……っ、あぅんっっ!!」

 大地之助は全身を硬直させて、殿の口の中に精液を放った。



 殿は目をつぶってそれを全て受け止め、満足そうに微笑んだ。

 窓の外の家来達は、もう夢中になって覗いている。

 ぐったりとしている大地之助の脚を割って、殿はそっと菊門に舌を伸ばした。

「…っ!!」

 大地之助はイッたばかりの身体を容赦なく責められて、大きく背中を弓なりにしならせた。

 殿は奥深くまで舌を差し入れて、自分の唾液で大地之助の菊門をベトベトに濡らした。

「ひっ…ふぁ…あん、あっあっ!!」

 殿の舌の動きに対して大地之助は敏感に身を捩じらせる。

 その反応の一つ一つが殿の行動に拍車をかけるのだ。殿は指を2本同時にゆっくりと挿入し、奥をぐりぐりと追いつめた。

「ひん!はあっは…あん、あんっっ」

 大地之助は浴槽のふちをぎゅっと握りしめて、押し寄せる快感に耐えている。おチンチンはまた大きくなっていた。

 殿は石けんを手に取って泡立て、さらに大地之助の菊門に指を入れた。

 ぬめりの為、大地之助は3本の指をたやすく入れられた。

 そしてそれを出し入れして、慣れてきた頃になると殿は自分の魔羅にも石けんの泡を塗りたくった。

 5日ぶりに大地之助が悦楽を味わっているところを充分すぎるほどに見て、殿自身は激しく脈打っている。

「入れるぞ、大地之助」

 大地之助は答えようとしたがさんざん責められて声にならず、頭を大きく縦に振ってうなずいた。

 台に座らされたまま、殿の魔羅がゆっくりと挿入してきた。

「う…あぁっっ!!」

「くっ…!」

 5日ぶりに殿を迎え入れた悦びで、大地之助は殿の魔羅を強く締めつけた。殿も大地之助の菊門にきつく吸い付かれて、強烈な感覚に襲われる。

 そのまま腰を深く進め、殿は激しく動き出した。先程つけた石けんが、じゅぶじゅぶと泡立つ。

「ふぁ…っん、んんっ…あ、はんっ」

 大地之助は殿の頬に手を添えて、口唇にそっと触れてみた。

 殿はそれに答えるように大地之助の指を口に含み、続いて口唇に口づける。

 大地之助の口内を貪りながら、殿は背中に腕を回し、繋がったまま湯船につかった。

「あぁ…」

 湯の中の独特な浮遊感の中で揺さぶられ、大地之助は思わず声を上げた。

「んぅん…おっ、お湯が中に…入ってくる…熱くって、変な感じ…んっ!」

 殿はハァハァと荒い息でそれに答えた。

「お前の中はっ…あっ…もっと熱いぞっ、ぉっっ」

 お湯の抵抗の中でお互いの腰の呼吸を合わす。だがなかなかうまくいかず、動きがぎこちなくなってしまう。

 それすらも大地之助は心地良くて、行為に没頭していった。

「あっ、はん、あうん、んんっっ!!」

 大地之助の背中がぐんと伸び、危うく湯船に後頭部から倒れこみそうになった瞬間、殿は慌てて大地之助のうなじと背中を支えた。

「あ…危なかったな…」

 焦って笑う殿に、大地之助は火照った顔で言った。

「ん…ん…僕イキそう…」

 確かに、殿の魔羅を包む大地之助の菊門は最初に入れた時よりきつく収縮している。射精が近い証拠だった。

 殿は大地之助の身体をまた風呂桶の台に座らせ、下から突き上げた。

 湯の中のもどかしい動きから急に激しく打ちつけられて、大地之助の身体に熱いものがはじける。

「あん、あっあっっ…殿ォっ」

 2人が繋がった場所からは、トロトロとお湯が流れ出る。

 じんわりと熱い湯が殿の太股を伝い落ちた。

「大地之助、大地之助っっ!!」

 殿は狂ったように大地之助の名前を連呼する。大地之助もそれにうん、うん、とうなずきながら息を喘がせる。

「んぅ、ふぁっ、との…殿っ!!」

 大地之助も殿も、お互いがたまらなく愛しくて恋しくて、1つに溶けあったような錯覚を起こしていた。

 5日間離れた後の交わりは、今までのものとは比べものにならないくらい濃密である。

「あっ…あ、殿!僕…っ」

 大地之助はブルブルと身体を震わせ始めた。

「っ…私ももうイクぞっ…大地之助っっ!!」

 殿の魔羅は大地之助の中でより一層硬度を増す。

「――――っ…殿ォ!!」

「大地之助っ!!」

 2人は互いを呼びながら、共に絶頂を迎えた。



 窓の外で、中条が鼻息荒く小さな声で言った。

「…いや~、今日のはまた一段とすごかったなぁ」

「まったく♪2人ともお久しぶりだからな」

 江田もにんまりと笑う。

「やっぱり大地之助殿は最高に色っぽいですなぁ…」

 鼻の下を伸ばしてニヤニヤする田崎を見て、五代は(いいのかなぁ…)と思いながら中の様子を伺った。



 2人は繋がったまま、絶頂の余韻に身を任せている。

 殿は大地之助を見つめて言った。

「これで、消毒終了だ。お前は私のものだ。他の誰にも触れさせない」

 大地之助はうっとりとした表情のまま微笑む。

「うん…僕は身も心も殿一色だからね」

 そして殿の口唇に軽く口づけた。

 ウフフッといたずらっ子のように照れて笑う大地之助を、殿は熱に浮かされたような顔で見ていた。

 その瞬間、大地之助の中の殿の男根がズグンッと大きくなった。

「え…との…?」

 今イッたばかりのモノが中で大きくなるなんて。

 大地之助は経験したことのない感触に戸惑っている。

 殿は恥ずかしそうに顔を赤らめて笑った。

「大地之助が余りに可愛いから、また勃起しちゃったみたいだな…このままもう1回やろうか?」

「…うん、殿」

 殿と大地之助はお湯の中に再び入り、動き出した。

 座位の体勢をとって、ゆっくりと揺れあう。大地之助は殿に口づけをした。

「んっ、殿すごいっ」

 大地之助の双丘を両手でぐいと掴んで縦に揺さぶる。浴槽の湯は大きく波打ち、パチャンパチャンと音を立てて勢い良く外に飛び出していた。



 中条達はまた始まったと、喜んで窓に飛びついていた。

 すると壁からミシッ…という小さな音がして、五代はイヤな予感がした。

「みなさん、もたれすぎですよっ。この建物古いんですから、壊れちゃいますよ」

 小声で注意しても、中の2人に夢中になっていて誰1人五代の言うことを聞いていない。それどころかますます前のめりになっている。

「また殿に怒られますってばっ…」

 注意する五代の耳に、今度ははっきりと壁に亀裂が走る音が聞こえてきた。

 殿も大地之助もそれに気がついて、窓の方を見た瞬間…。

「うわ―――――っっ!!!!」

 またもや壁の木材に大きな穴を開けて家臣たちが転がり込んできた。

 呆気にとられる大地之助。

 今回殿は驚いてもなんとかイカずにもちこたえたが、怒っていることに変わりはなかった。

「お前ら、いい加減にしろ――――っっ!!!!」

 顔を真っ赤にさせて怒る殿の声は、遠く離れた城にまで聞こえたとか聞こえなかったとか…。



 -終わり-



後書きという名の言い訳

  はい、また長い話ですね;

  シリーズ1作目『殿と大地之助』に出ていた鼻の横にホクロのある男、安井が再登場!!

  あの1作目でその存在が必要か否か、私の中で物議をかもし出していた安井ですが、陵辱シーンを書きたいばっかりにまたご出演願いました。たは~。

  いわゆる鬼畜なシーンがあっても私は結局シリアスに徹することができないので、中条たちにお笑い担当になってもらってます。

  それと、甘々な殿と大地之助の会話、書いててこっぱずかしくて仕方ないYO!!(笑)

  「ぅっわ~、くっせ~!」とか思いながら書いてますんで、読みながら「ぅっわ~、くっせ~!」と思ってくれたら本望で御座います。

  あと、このシリーズは日常に浸透している簡単な英単語(『オーバー』とか『ギャップ』とか)が使えないんで、密かにボキャブラリーを試されてる感が強いですね。

  もともと語彙が貧困なのにねぇ…。

  苦しみながら書いてるのに、まだまだ続けようと思ってるぞ、このシリーズ!!(笑)