大地はナブーに膝抱っこされたまま、口元から酒の混ざった唾液を垂らしてハァハァと息を荒げていた。
虚脱して力が入らないゆえにナブーのたくましい胸に小さな身を預けている。
「あぁ、ハァ、はぁ…ぇ、?」
口を塞がれて苦しかった分、空気を懸命に取り込んでいる大地の視界に異変が生じた。
ものの輪郭がはっきりせず、全体的にぼんやりとしている。
「あ、れ…?」
酒のせいだ。目をこすって慌てている大地に、ナブーは口元を醜く歪ませて笑った。
「それ、酔ってるだけじゃねェんだよ。ひひ…」
「?」
ナブーは再び大地に口づけた。
今度は酒を飲ませなかったが、その代わり大地の口の中を堪能するように、縦横無尽に舌を口内のあらゆる場所にべろべろと這わせた。
すると、大地はまたしてもなんだか妙な感覚を抱いた。
「んっ…!あッ!んぐっ…、はァん、ぁ…!」
キスをしているだけなのに、ナブーの舌が這ったところからとろけるような快感が生じてくる。
自身の舌、歯茎、上あご、口唇やその裏など、ありとあらゆるところが鋭敏になっている気がして、ぬめぬめとナブーに舐められるたびに背中や腰の力が抜けた。
甘い声が自然に出て、ナブーに塞がれている口唇が少し離れると、抑えきれない分がそこから漏れ出た。
「うふぅ、んっんん…ぷは、ああっ…!!」
「おお、効果ありだな。この酒はガキだけに効く媚薬成分が入ってるんだと」
さんざん大地を喘がせてナブーはやっと離れた。
息苦しさに大地は肩を揺らして空気を取り込もうと必死に喘ぐ。
「あぁ、ハァ、ハァ、んん、はぁ…」
自由に呼吸できなかった分、酒の回りが早くなった気がする。
頭はクラクラとして、ますます視界不良が進んでいる。もう力が入らなかった。
頬は上気して桃色になり、薄く伏せられたまぶたに宿る長いまつげの隙間からキラキラと潤んだ瞳が垣間見えて、色っぽさに拍車がかかる。
「ぐふ、とろっとろのすげェエロい顔になってんぜ大地よ」
ナブーは思った以上の色香を振りまく大地に、ゾクゾクしてほくそ笑んだ。
ぐったりとわが身にもたれかかる大地を太くたくましい腕でさらって、抱き上げる。
「ヒッ…!!」
その強引さに大地は小さく悲鳴を上げた。
ナブーは意に介さず、隣の部屋に敷いてある布団に大地を放り投げた。
「んっ」
布団は当然極上のものなので柔らかく、特別に痛みを感じることはなかった。
寝転ぶ大地にナブーはすかさず覆い被さり、肌襦袢の前をほどいていく。
見かけ通り荒々しいその手つきを、大地はぼーっと眺めていた。
先ほどの口づけの余韻が大きく、いまいち頭がついていかない。
頭だけではなく、身体全体に力が入らなかった。
ぼんやりしてこちらを見る大地は、なまめかしく艶っぽかった。
素朴であどけない、嗜虐心をそそる子どもとは知っていたが、こんな表情をするとは。
「どうりで中村のお墨つきってワケだ」
ナブーはそう呟いて、襦袢をはだけた大地にのしかかった。
「んんふっ」
酒に入っていた正体不明の成分によって全身が過敏になっている大地は、肌と肌が触れ合うだけでその感触に身を捩った。
ナブーはおもしろがって、触れるか触れないかの微妙なタッチで大地の胸や腰、太ももを愛撫する。
「っ、あぁ、は…!!」
白い裸体をくねらせて悶える大地を、ナブーは冷静な眼差しでじっくりと視姦する。
「おお?大地ィ、ノリノリじゃねェか」
ナブーの視線の先は大地の股間にあった。
そこは一度も触れられていないのに、ふんどしの中で大きく膨れ上がっている。
勃起の自覚があった大地は、それを指摘されて赤面した。
本当は嫌なのに。
こんな男に身体を自由にされるなど耐え難いのに、ただ手で触れられただけでちんちんが大きくなるなんて。
大地はショックだった。
困惑して眉をひそめる大地に、ひひひ…と笑いながらナブーが再び接近する。
大地の首筋に顔をうずめて、その辺りをぺろぺろと舐め始めた。
「あっ…ん」
思わず吐息交じりの声が漏れて、その甘さに自分で驚く。
(シャマンさんが聞いてるのに、恥ずかしいよ…嫌だよ…!)
そう思っても、ナブーはその気持ちを見透かすようにその行為を激しくしていく。
「おぅおぅ、お乳がもうこれ以上なくビンッビンだな」
布団の上では一度も触れていない胸の突起は、小さくとも激しく自己主張していた。
ナブーはカリリッとつま先で両方を同時に軽く引っ掻く。
「あぅう!!!」
大地がびくびくん、と大きく身体を震わせるその隙に、スッと体勢を変えてナブーは少年の脚を割り開いた。
「じゃあ、こっちはど〜うだ?」
大地のペニスと陰嚢をふっくらと包み込む前袋を覗き見る。その様子からそこが乳首同様かなり張りつめていることが窺い知れた。
「ふんどしの中でぴくんぴくんって揺れてっぞ。あと、お汁で布が濡れてンな」
「やっ…」
シャマンに聞かれているのに。大地は羞恥で頬を染めた。
そんな大地の心理を充分に知るナブーは、ふんどしをほどいて大地のペニスを露わにし、目にしたことをわざと大きな声で口にした。
「ハイ〜おちんちんがお目見え〜。思った通り先走りがだっくだくだ」
「っっっ」
「あんなにド緊張してたくせにおかしいなァ。こんなエロエロつゆだくちんちんはなかなかお目にかかれねェぜェ」
おもしろそうに頭を動かして、大地のペニスを様々な角度から覗き込むナブー。大地はもう穴があったら入りたいほどの羞恥に苛まれた。
一番恥ずかしいところをこんな下品な男に凝視されている。
大地はたまらなくなって脚を閉じようとするも、もちろんそんなことをこのナブーが許すはずがなかった。
何も言わずに、大地のペニスを一気に根元まで咥えた。
「あああ!!!」
大地は思わず声を漏らす。
ナブーは硬く勃起するペニスを確かめるように、今度は下かられろぉ〜…とゆっくりゆっくり舐め上げた。
「あっひァっ…」
続けてナブーの舌はたどり着いた先、大地のペニスの先端で留まった。
「ひへへ、ガキのここは小便臭いな。それがまたたまんねェんだよ」
亀頭を取り巻く包皮をふやかすように舌や口唇でねぶる。それにも大地は腰を震わせた。
「あっ、あああ…!!」
「あらら〜、またしてもおつゆだくだくだ。感度のいいガキは好きだぜ」
尿道から出てくる先走りをからめとるナブーの舌の動きが、これまた大地を追いつめた。
媚薬のおかげで大地の感度は最高潮に達している。
フェラチオされたのは初めてではない。クロマサやアカベコに実技研修の名の下、何度もされていることだ。
それなのに今日はもう下半身がどうにかなってしまいそうなほど、猛烈な快感が生じていた。
ちろ、ちろと尿道に少し入り込んでは先走りを舐めとり、そのついでに軽く剥いた皮の下側、大地のカリの根元の小さなでっぱりをなぞる。
「ダメだな、舐めたら舐めるだけおつゆが溢れてきやがる」
そう言ってナブーは大地のペニスをこすり上げ始めた。
「ああ、やァ、あああッッ」
「またぱっくり食べさせていただきまーす」
「ああん…!!!」
ナブーの髭が大地の下腹部に触れる。そう思った時にはすでに限界で、二〜三度ナブーが頭を上下させただけで大地は叫んだ。
「ダ、ダメ、ェエ!!!」
口中のペニスの感覚で大地が射精寸前なことに気づいていたナブーは、ダメ押しとばかりにペニスを強く吸い上げる。
「ああん、イ…イク…!!!」
ナブーの導きで、大地は彼の口の中に精液を放った。
何度か頭を上下して大地のペニスを吸い続けていたナブーは、大地の射精が終わってもしばらくはそうしていた。
「ん、んん…あぁ、はぁん…」
大地は知らず知らず腰を上下して、ナブーの口でピストン運動を行っていた。無意識で行うほど、この行為に夢中だった。
ナブーはそれが鎮まると同時におもむろに身を起こし、寝ている大地を抱き起してキスをした。
自分の口の中に、自身が放った白濁がナブーの舌とともに入ってくる。
「はっ…!!」
突然のことに声を上げる大地だったが、ナブーは隙を与えずずっと大地の口を責め続けた。
(こ、これがオレの…?変な味…!!)
尺八練習ついでに何人もの教育係の精液を飲んだ経験はあるが、自分の放ったものを口にするなど初めてで大地は戸惑った。
ナブーに正面から抱きすくめられ、しばらくそうやって激しい口づけをした。
あの酒は効果が長いのか、ますます大地の理性を失わせていく。
互いが口を離した時にはいやらしい銀の糸がふたりの口唇を繋いでいた。
「…お前…プロフィールにはなかったが、精通してたんだな」
中村から大地の情報を事前に聞いていたナブーは、大地が今初めて射精したのではないことをその反応から気づいて笑った。
ハァ、ハァ、と肩で息をしながら、大地は絶頂の余韻に浸った顔で静かにナブーを見上げている。
「気持ち良かっただろ、お?」
唾液と精液にまみれた口がにたりと笑って訊ねてくる。同じように濡れそぼった口元を半開きにさせて大地はうなずいた。
「ひゃはは〜、大地、それを口に出して答えてくれよ」
「…っ」
「おら、今うなずいたってことはよォ、オレの尺八がすんげェ最高に気持ち良かったんだろ?それを言葉にしてくれ」
ナブーはまた背後の広縁にいるシャマンを意識してこんなことを言い出したのだ。
(い、言いたくないよそんなこと…!シャマンさんに聞かれたくない!)
躊躇する大地に、ナブーは顔を近づけてすごんだ。
「客の言うことを聞け。気持ち良かったんだろ、答えろ」
「っっ…」
大地はゾクリとした。ナブーの豹変ぶりに恐怖で胸をわななかせた。
「大きな声でな」
「き、気持ち良かったです…」
「もっとだ。そんなんじゃあのイケメン兄ちゃんに聞こえねェだろうが」
「…気持ち良かったです!」
大地は情けなくてじんわりと目が潤むのが自分でもわかった。しかしここで泣いてはナブーを悦ばせるだけだ。なので必死で堪えた。
自分の存在がここにあることで、大地を追いつめて悦んでいるナブー。
シャマンのこめかみに幾筋もの血管が浮かんでいた。
くやしい。何もできない自分が歯がゆくて仕方がない。
シャマンはじっと広縁でただただ我慢の時間を過ごすしかなかった。
