同じように授業を終えたミナトと昼食を食べ、そして昨日風呂に入りそびれたことを思い出しシャワー室で身体を清めた。
大地は意を決して午後の授業に挑んだ。
実技研修室に着いた。
ここでペニス挿入の訓練を行うのだ。とても不安だったが、大地は心を落ち着けて扉を開いた。
「!!!」
入って早々、大地は目を見開いた。
視界に飛び込んできたものは、仰向けになったひとりの陰間見習いが大きく開脚した正面から男に魔羅を挿入されている姿だった。
「…いっ…う、ああ!」
大地と同じぐらいの歳だと思われる少年は、目をぎゅっと瞑り、顔を真っ赤にさせて痛みに喘いでいる。
少年の着物は重なり合うふたりの横に無造作に放り出されていた。何も身につけていない肌は、顔同様赤らんでいる。
拡げられた脚のつま先は、力が入り指がすべて内側に折り曲げられていた。
毛の生えていないおちんちんは、激痛のせいだろうか、小さく縮んでいた。
かなり苦しいのだろう、その苦痛に耐える必死な姿は可哀想で、大地の心を動揺させた。
ふと少年の菊門に魔羅を挿入している人物に視線を移す。
良く見ると昨日大地の身体検査が行われた時にいた角刈りの男だった。
身体検査の名の下、自分に対して行ったいやらしい行為が思い出されて、大地はまたたく間に嫌悪感に襲われた。
それに、体格がいい男だけに組み伏せられている少年が余計小さく見え、哀れさが増した。
角刈りの男は少し苦しげな、それでいて快感を得ているような表情で痛がる少年に声を掛けた。
「よし、やっと全部入った。初めてだな、良くがんばった。このまましばらく…五分ぐらい挿れたまんまだから、我慢してろ」
「は、ぃ…」
やっとの思いで返事をする少年は、昨日見た拓海とは違い本当に辛そうだった。
まつ毛は涙で濡れていて、表情からかなり我慢している様子が伝わってきた。
「ひぃ…あ!」
突然反対側から甲高い叫び声が聞こえてきたので、大地はハッとして視線をそちらへ移した。
そこでは真っ裸で四つん這いにさせられた十四〜五歳に見える陰間見習いが、教育係に後ろから魔羅の頭をぐいっと突き立てられるという光景が
繰り広げられていた。
「っっ…!!!」
あまりの激痛のせいか、少年は声も出せずに身を縮めて苦しげに喘いでいる。
腕は痛みに耐えるべく悶えうち、そのせいで支えきれなくなった上半身は急勾配を描いてその整った顔を床の畳に擦りつけていた。
「イテテ…!おい、力を抜け!」
三十代半ばであろう教育係の男が、自身の魔羅を菊門内部でしめつける少年を背面から叱りつける。
「…うぅ〜…」
少年はそう言われてどうにか腕に力を込め、身を立てて顔を上げた。
その頬は涙で濡れそぼっていて、ここまで挿入するのにかなりの苦労を要したとわかるような、憔悴しきった表情をしていた。
「まだだ、まだイテェよ。オレのちんぽ食いちぎる気か!」
教育係は少年の尻たぶをぺちん!と叩いた。少年はその拍子に背中をしならせる。
「おら、楽にしろ。初めて全部突っ込まれたら辛いのはわかるが、ガッチガチに力入れんじゃねェ。入るもんも入らねェぞ」
「〜〜〜、くっん…」
「お?ちったァマシになったか?」
少年は教育係の言葉に少しホッとした様子だったが、依然として痛みがひどいらしく涙がぽたぽたと畳にこぼれ落ちていた。
大地はぐびりと唾を飲み込んだ。
畳が敷きつめられた広い実技研修室にはこの二組以外に人はいなかった。
が、大地を圧倒させるには充分であった。
実際にペニスを飲み込まされて痛がる少年らを目の当たりにすると、大きな恐怖心に包まれる。
(オレより年上に見える人が、あんなに泣いちゃうぐらい痛いんだ…)
先ほど落ち着けた気はどこへやら、足がガクガクと震え始めた。
「おい、どいてくれ。そんなとこに突っ立ってられちゃァ中に入れないんだが」
「っ…!」
背後の高い位置から声がして、大地はハッとして振り返った。
そこにはシャマンがいた。
無表情で大地を見下ろしている。
やばい。気まずい。
さっきは思わずシャマンに対し、嫌な態度をとってしまった。
シャマンは何も悪くないのに。あの時の自分はどうかしてた。
午前中に並木の話を聞いて改めてシャマンがいい人なのだと思った。
なのにうまく謝ることができない。
ためらいがちにシャマンを見上げながら、通れるようにおずおずと一歩下がる。
すると、すれ違いざまに笑い掛けられた。
「どうやら機嫌は直ったみたいだな?」
口の端をきゅっと上げてフフン、と笑うその表情は、明らかに大地をからかうものだった。
それに気づいて大地は思わず反発するように言い返した。
「き、機嫌…?いや、あれは…!」
そう言いかけて、ぐっと言葉につまってしまった。
『あれは』なんだと言うのだ。
シャマンが拓海と仲良しだということ、またシャマンは他の子にも優しいというのが許せなかった。
嫌な気持ちになって、なんでそう思うのか、そのことに悶々と考えを巡らせていてわけがわからなくなってしまっただけだ。
あの態度はそのやつあたりに他ならない。
何故こんな気持ちになるのか、という理由がわからないだけで、もやもやする気持ちの動機ははっきりしている。
それを思わず言いそうになったが、そんなこと言われたってシャマンは知ったこっちゃないであろう。
険しい顔で『は?』なんて聞き返されるのがオチだ。
まるっきりお門違いな怒りをぶつけたのはわかっているし、何より自分の行動がわがままで子どもっぽ過ぎるという自覚はある。
だからその分、改めて口に出すのははばかられた。
大地が何かを言い掛けたのでシャマンはその場で立ち止まり、振り返って続きの言葉を待っている。
そのことにも焦ってしまい、どう答えていいのかわからずに『あう、あう』と口だけ動かしながらその場に立ちつくしていると、突然右側で
挿入練習している少年が声を上げた。
「…ぅ?…ん、んんっ」
大地がなんとなくそちらを見ると、角刈りの男が少年の胸の突起に舌を這わせているのが見えた。
「へへへ…」
舌の先でくにゃりとした乳首をはじく男の顔は、恍惚としていやらしく笑っていた。
大地の脳裏に昨日のこの男の姿が瞬時に思い起こされる。
舐められている少年はぎゅっと閉じていた目をうっすらと開いて、おそるおそるといった様子で角刈りの男を見る。
そして自身の胸に舌を這わす男の行動に驚いたようで怯えた顔をした。
覆いかぶさる男がより前かがみになったため、ペニスを挿入された菊門が痛むらしく、少年がか細い声で尋ねた。
「っ…もう五分、ぅん、経ちましたか…?」
男はぺろぺろと舐めていた胸の突起を今度は指でつまみ、にたりと笑った。
「まだだ。挿れてみて思ったんだが、中ァ拡げるためにはまだあと十分はこのままの方がいい」
「…!!」
そろそろ解放されると思っていた少年は、それを聞いて愕然としたようで固まった。
「おら、こうやって気持ち良くしてやってんだから我慢しろ」
角刈りの男はそう言って、今度は指で少年のペニスをいじり出した。
「ぁッ!」
少年が高い声を上げた時、シャマンが大地の視線を遮るようにその小さな頭に手をやり、自分の方へ振り向かせて引っ張った。
「見なくていい」
シャマンはそう言って、大地が角刈りの男たちを見ることができないよう自分の身体を盾にした。そして抱え込むようにして奥へと連れて行く。
先ほどからかってきた時とは違い、厳しい顔をしていた。