何かと罪作りな人を好きになってしまったことを大地が嘆いていると、背後からぬっと大きな影が現れた。
驚いてぎょっとした大地に笑いかけるのは、今日の尺八相手のクロマサだった。
「おう、遅れてすまん」
はだけた胸元から阿修羅の刺青を覗かせて、大地を見下ろしてニヤニヤと笑っている。
昨日はアカベコとふたりして意味ありげに見つめられたことに違和感を感じたが、今日はそんなこともなくいつもと同じ調子だ。
しかし、大地には先ほどの見習いの話に挙がっていた『挿入練習直後に見習いの身体に精液をかける』という新たなマイナスイメージができており、
この男に対し何度目になるかわからない猛烈な嫌悪が沸き起こった。
クロマサはそう呟きながら尺八グッズを取りに行き、続いてふんどし姿になる。
さっさと準備を進めていく大男を見ながら、そう言えばこのクロマサも大地の挿入練習はシャマンが専属で就くことをもう知っているのだと気づいた。
しかし今のところ特に口や態度に出すことはない。
度々耳元で呟かれた『ああ、ハメてェなァ…』という真に迫った発言を思うと不自然な気もしたが、大嫌いな男の言動などにいちいち考えを及ばせるのも
嫌だったので大地は気に留めないことにした。
大地は過去三回の尺八練習で、ひと通りのやり方と射精へ導くこと、その後の精液を飲み込むという基本的なことはみんなクリアできている。
そこでクロマサはこんなことを提案した。
「お前は挿入練習に時間がかかるだろうから、尺八はその間にいろんな技をマスターできるようにってアカベコとオレとでお前のメニューを決めてやったぞ」
それを聞いて嫌な予感が高まる。
眉をひそめる大地に、クロマサは腰に手をやり悪びれずに言った。
「尺八のバリエーションを増やすんだ。オレたちが指導してやるから全部マスターしろ」
「……」
挿入ができなくなった分だけ、尺八で愉しもうとする。
とことんまで少年を慰み者にする下衆な精神の持ち主に大地は何か言い返したかったが、それすらも恰好のネタにしてセクハラしてきそうなクロマサには
無駄なことだとおとなしく従うことにした。
クロマサは立ち話していた入り口近くのその場にでんと尻をついて座る。
そのまま股を開く。大地をそこに誘導しているのだ。
誘われるままに大地は四つん這いになって大男の脚の間に入った。
「お前の思うように勃起させて口に含んでみろ」
大地の口元に手を伸ばしたクロマサは、太い親指で大地の下口唇をいたずらしながら笑う。
この男を悦ばせるようなことをしたくない。
本音はそうだが、どうせ二言目には『尺八の評価を下げるぞ』だろう。
大地は何も言わずクロマサのふんどしにそっと手を伸ばし、前袋のふくらみを揉む。
ふぅん、と軽く鼻息を吹いて期待に満ちた微笑みを浮かべるクロマサの様子から、そこはまた洗っていないモノだと気づいた。
しかし大地はここで戸惑っていては相手の思う壺だと、魔羅が硬度を増してくると前袋から取り出して躊躇なく口に咥えた。
「おお、今回は尻込みなしか。がんばるねェ」
口中に収めた魔羅の匂いが鼻に抜け、辛い。
しかし頭上で発せられたからかいを含んだクロマサの声には耳を貸さず、無視しながら大地は事務的に竿を舐め上げた。
怒張がほぼ完璧に近づいた頃、クロマサは息を荒げて今回のメニューを言い渡した。
「じゃあまずひとつ目。音を派手に立てながらしゃぶれ」
尺八をする際に立つ水音。
大地は自分が発するこれが聞こえるといつもとても恥ずかしく、また自分の行為を突きつけられる気がしてあまり音を立てないようにしていた。
なのにそれを命じられて、動揺で一瞬ひるんだ大地をクロマサは見逃さなかった。
「初日にアカベコに言われただろう、唾いっぱい出せって。その唾で音させりゃァいいだけだ」
いったん魔羅から口を離していた大地に、天井に向いて伸びるそれを示して再度咥えるように促す。
「ほれ、やれ」
大地には拒否の選択権などない。クロマサは自信たっぷりに床に寝転んでじっと大地の動向を見守っている。
「……」
大地は大きく口を開いて再び魔羅をそこへ収めた。
言われた通りに唾を先ほどより分泌させて、わざと音を立てた。
「ぉぅんっ…ぐ、ッッ…」
じゅるる、がぽっ、ぷじゅっ…という尺八の音とともに、行為の激しさで喘ぐ大地の声が混じる。
クロマサは唾液にまみれて光る魔羅ごしに大地を見つめ、満足そうに言った。
「…っ…辛そうだけど、美味そうに見えるぜ、ハァ、ハァ…」
「ご、おぇっ、んっ、ぅんっ…」
「音立てながら、ぁぁ、じゅるじゅる舐めてくれっと、積極的に魔羅ァ味わってるように見えてたまんねェのさ…い、いいぜ大地ッッ」
クロマサは自身を追いつめる大地の小さな頭へと腕を伸ばす。
そうして大地の短髪を掴んで、上下の動きを激しいものへと導く。
「そのまま、す、吸え…ッッ。『爆音吸引』でイカせろ…!」
聴覚と視覚でさらに刺激され、射精の感覚がすぐ近くまで来ているクロマサの声は震えていた。
正直この状態で魔羅を吸うなど、基本的なことを数日前に学んだばかりの身ではなかなかに難度の高い命令だ。
しかし興奮状態が高まっているクロマサにはそんなことは通用しない。
じゅぅうううう、と大地の口からひと際大きな水音が響く。
吸引のため大地の頬はへこんでおり、強い力で魔羅が圧迫されたクロマサは腰をわななかせた。
「おーっ、おおぉッッ!!!」
激しい呼吸の合い間に漏れ出たそんな声に混じり、クロマサは鈴口から激しい勢いで白濁を放った。
「っっ!!!」
突然の口内発射に加え、吸い上げることに気をとられ精液が喉に当たるのを防御しきれなかった。
「うぅ、ぐぅぅっ…」
なんとかまともに喉の奥に当てずに済んだが、クロマサが大地の頭を強く引き寄せて最後の一滴まで放出しようと放さないので、うまく飲み込むこともできずに
少しむせてしまった。
「げぽっ…ぉぐぅ…!!」
「ふぅ、ふぅ…あああ、サイッコー…」
クロマサがたっぷりと想いを遂げたところから魔羅を抜き出すと同時に、飲み込み切れなかった精液が大地のあごへと多量に垂れる。
(だ、ダメだ、全部飲まないと評価されない…!せっかくがんばったのに…!)
大地は慌てて口元にある精液をどうにか口中に戻そうとしたが、クロマサは肩で息をしながらそれを制した。
「いいって、いいって。だらしなく口にザーメン垂らしてるのもまたエロし、ってことで」
苦しさから大地の頬に流れている涙をクロマサは指で拭って、大地を腕の中に招く。
「良ォくできました。ほれ、ご褒美のべろちゅーだ」
泣きながら懸命に尺八に励んだ少年を真正面から抱きしめて、クロマサは顔を近づける。
少年の性を貪るケダモノそのもののクロマサから口づけを迫られて、大地は嫌悪から無意識に顔を背けたがそれで許されるはずがなかった。
逃げぬように抱え込まれて、勢いのまま口の中にケダモノの舌がねじ込まれる。
「うぅ、ん!」
精液でぬらつく大地の口内をべろべろん、と一周二周と何度か大きく舐め回すと、今度はうろたえる柔らかい舌を見つけて吸い上げた。
先ほど大地が彼の魔羅をそうしたように、クロマサが大地の舌を吸引した。
じゅっちゅ、ぢゅうううーーーっという大きな唾液音とともにクロマサの舌に自身の舌がからみつくように巻き取られる。
「うぅ、んんんーっっ!!!」
じたばたと暴れたところで無駄なことだった。
むしろ暴れるのをいいことに、クロマサは大地の着物の隙間から手を差し入れてどんどん着崩していく。
口づけから解放された頃には大地はすっかり胸も脚も露わな、乱れた出で立ちにさせられていた。
それに気づいていたが間髪入れず苦しい凌辱の連続に力が入らず、ぐったりとクロマサに身を任せることしかできないでいる。
大地にいやらしいキスを施すことにより、自身の精液がべったりついて口元を光らせているクロマサはそんな大地に囁いた。
「へへへ…今度はオレをじっと見つめながらご奉仕してもらおうな…『観察尺八』だぞ」
「……」
あの手この手で愉しもうとするクロマサの下劣さに、大地は気が遠くなった。
