絆 6
 離れの風呂場は草原にたった1つ、ポツン…と佇んでいた。
 
 一応城の敷地なのだが、本当に端の方なので辺りは寂しげな雰囲気に包まれている。

 大地之助は少し怖くなったが、中を開けてみると綺麗に掃除されており、何本も立てられてあるろうそくの為、外とは違い明るい雰囲気にホッとした。

 五代は大地之助に言う。

「それでは私は城へ戻る。大地之助殿がお帰りの際は日が落ちて暗くなっている可能性があるから、気をつけるんだよ」

「うん」

 大地之助の返事を聞いて、五代は馬に乗って急いで城へ戻っていった。



 先回りしていた中村は、大地之助を初めて見て興奮している。

「…おお〜…噂にたがわず本当に愛らしい…」

「だろ?じゃあ今から大地之助の湯浴みを見物させてもらおうか」

 安井は感動している中村を連れて、風呂場の窓へ向かった。

 大地之助は、まさか牢から出た安井が再び自分を襲おうと近くに来ているとも知らず、脱衣所で着物を脱いで浴場へ入っていった。

 誰に見られているという訳でもないので、一糸まとわぬ姿で現れた大地之助を見て、安井と中村は大喜びだ。

「あ…あのすべすべの肌…たまんねぇ。まだ毛の生えてないおチンチンも可愛くって、早くいじりたいっすよ…」

 息を荒くして窓から入っていきそうな中村に、安井はコッソリ言った。

「まぁ待てよ。後で存分に味わえるんだ。今は大人しく見てな」

 大地之助は2人に全く気づかず、浴槽の湯をかき混ぜている。

 窓に背を向けてかがんでいるので、自然に小さなお尻を男達に見せつけるような恰好になっている。

「あのお尻が殿のご寵愛を受けてるんすね…」

 中村の股間はもうすでに大きく反り返っていた。

「そうだ。聞けば毎晩まぐわってるそうだぜ?」

「なんとうらやましい!!」

 ちょうど良い湯加減だったので、大地之助は浴槽をまたいで湯につかる。

 その瞬間菊門が見えそうになって、安井と中村はその一点に視線を集中させた。

「うぉっ…見えそうで見えないっ!」

「くくく…昨日指入れさせてもらったが、吸いついてきて…ありゃかなりの名器だな」

「くぅぅっ。後で思い切り舐めまわしてやろう」

 安井に言われて、中村は男根をしごき出した。

 大地之助はそんなこととはつゆ知らず、気持ち良さそうに湯につかっている。

 その頬は湯の温度でだんだんと色を帯び始め、男たちをこの上ない欲情へと誘う。

 大地之助はしばらくして、身体を洗う為浴槽から出た。

 窓のすぐ近くに座り、石けんを泡立て始める。

 殿と会える嬉しさの為か、大地之助は鼻歌を歌いだした。

「…可愛い…可愛すぎるっす…あっしは幸せモンだぁ」

 その様子を見て中村は紅潮した顔で覗き込む。

「しっ!バレるだろ、もう少し顔引っ込めろ!」

 安井の心配をよそに、大地之助は上機嫌のまま全身を泡まみれにする。

 昨日安井に無理矢理触れられたところを綺麗にしようと、手ぬぐいをそっと股間へと滑らせ丹念に洗う。

「んっ…!」

 大地之助は手ぬぐいが菊門に触れた時、思わず声を上げてしまった。

 桃色の頬をだんだんと赤くして、その部分を優しく洗っている大地之助を見て、窓の外で中村は早くも達していた。

 大地之助は、自分を見ている男達がいるとも知らずにその行為を続けていたが、すぐに湯で泡を洗い流し、今度は洗髪に取り掛かった。

 頭をかがめて石けんを泡立てる大地之助のおチンチンは、身体の揺れの反動で小さく動いている。

 脚に落ちた白い泡が精液を連想させて、男達はこれまた興奮した。

 そして全身をさっぱりさせた大地之助はまた湯船につかり、手ぬぐいに空気を入れたりして遊んでいる。

(殿サンの帰りを待ちわびてワクワクしてるとこ悪いんだが…俺達の慰み者になってもらうぜ)

 今から自分がどんな目に遭うか知らずに鼻歌を歌っている大地之助を見て、安井は意地悪く喉で笑った。

 大地之助はザブンと勢い良く浴槽で立ち上がると、脱衣所へ出て行った。

「おい、お前はさっき言ったところで待ってろ」

「へい〜♪」

 安井に言われ、中村は嬉々としてその場を去った。



 大地之助は身体を拭いて着物を着た。

 扉を開けて外へ出ると、五代の言ったとおり日が沈み、空が紺色に変わっている。

(あ〜、行灯つけなきゃ)

 大地之助がそう思っていると、不意に誰かに腕を捕まれギョッとした。

「昨日はどーも」

 振り返ると、安井がふてぶてしく挨拶している。大地之助は驚きのあまり言葉が出なかった。

(な…なんで?地下牢にいるはずじゃ…!!)

 凍りついている大地之助を見て、安井は目を細めて言う。

「入浴中のお前、最初から最後まで見させてもらったよ。たまんなかったぜぇ」

 大地之助の脚は自然にガタガタと震え出した。

 執拗に自分を追う安井の目は、再び獲物を捕らえた悦びでギラギラと怖いぐらいに怪しく光っている。

「こんなところに1人で来ちゃって…。俺が捕まってると思って油断したな。2度あることは3度あるって言うだろう?」

(いやだ…怖い…!)

 早く逃げなければと思うのだが、大地之助は安井の視線から逃れられず、その場で立ち尽くすことしかできないでいた。

 すると安井は片手で大地之助の着物の胸元をこじ開けた。

 ぐい、とものすごい力で引っ張られ、大地之助は思わずよろける。はだけられた胸から現れた、大地之助の桃色の乳首をつまみながら安井は言った。

「1人になったことが運の尽きだな。俺の好きにさせろ」

「いやだっ!!」

 大地之助は必死の思いでそれを振りほどき、力いっぱい駆けていった。

 昨日の安井の力を考えると案外簡単に逃れることができ、大地之助は不思議に思って走りながら振り返った。

 安井は小屋にもたれかかったまま余裕の笑みをたたえている。

 追いかけようとしない安井を不審に思ったが、城までの道は遠い。そのまま大地之助は走り続けた。



 風呂場から半町ほど離れた頃だろうか、背後から安井の奇声が聞こえてきた。

「イ―――ヤッホ――〜〜!!!」

 驚いて大地之助は再び振り返った。

 見れば色欲にとりつかれた、まさに淫獣のような顔で安井が笑いながら追いかけてきている。

(あいつ…楽しんでる!!)

 大地之助は恐怖で脚がもつれそうだった。

(イヤ…イヤだ。殿と逢えるこんな日に、またあの男にいいようにされるなんて…!!)

 涙が大地之助の頬を伝う。

「おら〜待て〜〜!!大地之助ェェ―――!!!」

 安井の笑いを含んだ呼びかけに、大地之助は無我夢中で逃げた。

 まだまだ城は遠くにある。

 こんなことなら五代さんにずっとついてもらっていれば良かった。

 そう思っていると、大地之助は何かに引っかかって転んでしまった。

「っっ!!」

 地面を見れば、草を結んで輪状にしたものがいくつもあった。

 自分を捕まえようという安井の罠だとすぐに気づいた大地之助はすぐさま飛び起き、一歩踏み出そうとした時、草叢から黒い影が躍り出てきた。



「……!?」

 見たことのない男が、ふんどし姿でよだれを垂らしてニタニタと笑っている。

(こいつ、もしかして安井の仲間…?)

 大地之助は目の前に立ちはだかる男を見て固まった。

「へへへ…はじめまして、大地之助殿…。安井の兄貴に言われてあんたと遊ぼうと思ってよォ…。さあ、こっちへおいで」

 じりじりと近づいてくる中村に、大地之助は後ずさった。

(この男が手引きして安井を地下牢から出したんだ。最初からこの計画で…?だからさっきすぐに安井は追いかけて来なかったんだ!!)

 大地之助の耳に、背後から駆けてくる安井の足音が聞こえてきた。

 これはいけないと、とっさに中村を避けて走ろうとしたが、すぐに中村に捕らえられてしまった。

「やだ!放せっっ!!」

「うん、よしよし、なんにも怖いことないからねぇ〜〜」

 中村はねちっこい口調で、大地之助を後ろから抱きすくめて放さない。

「俺さァ、あんたが風呂入ってるトコ見て手淫しちまったんだよ。ほんっと可愛いねぇ」

 大地之助はゾッとして青ざめた。バタバタと身を捩っても、中村のバカ力には敵わない。

 そうしていると、安井が2人の元に辿り着いた。

 大地之助は草叢に押し倒される。

「……っっ!!」

「殿サンの為に綺麗に洗った身体…俺らに汚されちまうのってどんな感じだ?」

 安井は自分の着物を脱ぎながら大地之助の顔を覗き込む。

「い…や…いやあっ!!!」

 大地之助は泣きながら悲痛な声を上げる。

 そんなことはお構いなしに、安井と中村は大地之助の着物の胸元や裾に手を差し入れた。

「兄貴ぃ…風呂上りの火照った身体って、いやらしくってイイっすねぇ」

 上半身を押さえている中村は、月明かりに照らされた大地之助の胸を撫でさすり息を荒くしている。

「ああ…太股なんか、桃色だぜぇ?」

 安井は大地之助の太股を完全に露出させ、悦に入っている様子だった。