スリーパーズ18
「放せっ!放せよっ!!」

 大地は壁に追いつめようとするシャマンに必死に抵抗した。

 ナブーがラビや自分にさせようとしたことの真の意味が分からない大地は、パニックになっているようだ。

 さんざん恐怖心をあおられ、実際にシャマンが動き出したために混乱に陥っていた。駄々っ子のように頭を左右に振って、シャマンに抗っている。

 それに反してシャマンは冷静に大地を見下ろし、その胸倉を掴む。そしてすぐさまシャマンの右手が鋭く空を切った。

「……っっ!!」

 大地の左頬に、シャマンの大きな手が振り下ろされる。突然の強烈な痛みに、大地は悲鳴すら上げることができなかった。

 大人の男の圧倒的な力。脳がぐらりと揺れた感覚がして、意識が遠くなりかける。

 その時、反対側の頬を無情にもシャマンは同じように殴った。

「――――…っ…」

 掴まれていた胸倉を放され、殴られた反動で大地は床に置かれていたマットレスに転がった。軽く埃が舞い、スプリングが軋む音がする。

「……」

 どうにか起き上がろうとするものの、次第に視界が暗くぼやけ始め、大地はとうとう気を失ってしまった。


「…大地!」

 その様子を見ていたラビが、真っ青な顔で叫ぶ。

 シャマンはラビに視線を一瞬移して、ククッ、と狡猾な笑みを見せた。そしてぐったりと倒れている大地の元へとゆっくり近づいていく。

「…他愛もない」

 そう言って大地のシャツに手をかけると、左右に引き裂いた。その拍子にすべてのボタンがはじけ飛んだ。

 中に着ている白いタンクトップもビリビリと派手な音を立てて破かれ、大地の薄い胸をあらわにした。

「くくく…こんなチビのくせに、オレに逆らおうっていうのがお笑いだな」

 小さな白い身体に手を伸ばし、大地にのしかかるシャマン。大地は相変わらず意識を手放したままで、いっこうに気づく気配がない。


「…っ…大地っっ!大地!!」

 ラビは大地を覚醒させようと、ナブーに捕らえられたまま必死に呼びかける。

 ラビは、シャマンが今から大地に何をしようとしているのか気がついた。


 今、自分がナブーに命令されていること以上のひどいこと。


 レイプ。


「大地!大地…っ!くそォ、やめろシャマン…!!」

「おいラビ。人のこと心配してる暇はねェぞ」

 先程からほったらかしにされている感のあったナブーは、焦れて自身のペニスをラビの口に無理矢理突っ込んだ。

「……っ!」

「〜〜〜っ…噛むんじゃねェぞ?そんなことしやがったら、お前の目ン玉に即、煙草押しつけてやるからなァ…っ」

 煙草の火をラビの顔に間近に迫らせて、ナブーは強引にフェラチオをさせる。その性器から匂い立つ臭気に、ラビは吐きそうだった。

「うおっ…気持ちいいっ!」

 ラビの頭を掴み、前後に揺さぶり出す。気持ち悪くて苦しくて、ラビの目から自然に涙があふれ出した。

 こんな屈辱を受けたのは生まれて初めてだ。ラビのプライドはズタズタにされた。


 一方シャマンは、ぐったりと気を失っている大地の首筋や胸元にむしゃぶりついていた。キメの細かいすべすべの肌を、指や舌で弄ぶ。

 露わにされた上半身を味わい尽くし、今度は下半身に手を伸ばした。

「んん…?」

 大地は胸に重くのしかかる妙な圧迫感により、やっと意識を取り戻した。最初はなんなのかよく分からなかったが、シャマンが自分の身体に触れているのに気づいて大慌てで叫んだ。

「っ…イヤだ、やめろっ!」

 手錠をはめられた自由にならない腕を、懸命にシャマンに振り下ろす。だがなんなくそれを片手で捕らえられ、ぐいと頭上に引き上げられた。


 大地を威圧するように顔を覗き込み、シャマンは意地の悪い笑みを浮かべる。

「気がついたか。ほら見てみろ、お友達はナブーと仲良くしているぞ?」

 そう言って向こうの2人を顎で示して、大地の視線を誘導した。

「……!!!」

 大地はラビを見て、言葉を失った。

 床に跪いてナブーの欲望をその小さな口で受け止めるラビ。されるがままに顔を前後にし、その姿はまるで人形のようだった。

 あまりの痛々しさにかえって目を背けることもできず釘づけになっている大地に、シャマンはその耳もとでねっとりと囁いた。

「可哀相になァ…オレたちに逆らったばっかりに」

 そして一気に大地のズボンとトランクスを引きずり下ろし、強引にその脚の間に割り込んだ。


「なっ…何をっ…?」

 性器を露出させられ、恥ずかしくて真っ赤になる大地だったが、シャマンが自分に何をしようとしているのかまったく見当がつかなかった。

 11歳の大地は性的にまだウブで、何も知らなかった。シャマンの行為を予測できない分、恐怖心がありありと浮かびもするし、反対に警戒がなく隙だらけでもあった。そのアンバランスさが

シャマンの征服欲をあおった。


 なんとか身を逃がそうと暴れる大地を身体で抑え込みながら、シャマンはローションをつけた中指を大地のアナルにそっとあてがう。

 ぴくん、と小さく身体を震わせて大地は目を見開いた。

 なんでこんなところをシャマンは触ってくるんだろう。校医の男もここに触れてきた。入所してずいぶん経つのに、昔風の身体検査なんて今さらするわけでもないだろうし…と困惑していると、

シャマンがその指を軽く動かしだした。

「っひゃ…」

 指の腹でアナルの入り口をくりくりと悪戯されて、大地は肩をすくませた。

 くすぐったいようなむずがゆいような、ゾクゾクするような、熱いような…なんともいえない感覚に戸惑う大地を見て、シャマンは呼吸を荒げ始めていた。


 シャマンはそのまま、大地のアナルにいきなり中指を挿入した。

「はっ…!」

 大地の身体は突然の痛みに大きくのけぞった。シャマンは指をさらに侵入させる。

「あぅ!…イ…タ、痛い…!」

「くくく…」

「ふ…!やめてシャマンっ…!」

 必死に訴える大地を面白がるかのように、その頬をべろりとシャマンは舐め上げた。大地は拒絶するようにギュッと目を閉じた。


 小さなアナルの中で中指を出し入れさせながら、今度は薬指も挿入した。指を増やされてさらなる痛みが生じ、大地は目尻から涙を流していた。

「くっ…ふ、う、イヤだ、イタイっ…あうぅっ」

「狭いなァ…よォく拡げとかないとな」

 シャマンは泣いている大地の顔を見下ろしながらほくそ笑む。

 2本の指に入り口や中を拡げられながら、こんなところを何のために弄くられているのかいまだ分からない大地。

「ああっう、は…あ!…いや、イヤっ…!」

 赤い顔で身を捩って恥辱に耐えている大地をシャマンは存分に堪能しながら、自身のペニスに視線を向けた。そこはズボンの中で大きく屹立している。

 かなり昂ぶっていることを自覚してやっと、シャマンは大地のアナルから指を引き抜いた。


「っ…!」

 解放されてホッとする大地。自分の脚の間でシャマンがごそごそと何やら行っているが、今のショックで頭がうまく働かず、何をしているかまでは考えが及ばなかった。

 シャマンは、自身の勃起したペニスをズボンから取り出し、ローションを丁寧に塗りたくる。それは今から大地を征服できる悦びで完全に大きくなっていた。