スリーパーズ20
「……!?」

 熱い精液をかけられて、大地は驚いて顔を上げた。

 シャマンのペニスの先端から、残りの精液が飛び出している。シャマンは絶頂を迎えたためびくびくと身体を小さく痙攣させながら、熱に浮かされたような顔で大地を見ていた。

 思わず目が合った。


 ハァ、ハァ、と2人の息がとけあう。何も言わずにじっと大地を見つめるシャマン。

 とてつもなく苦しかったペニスの挿入と、それに伴う出し入れから解放されホッとしていたものの、ショックが大きすぎて大地は放心状態だった。シャマンの目を見つめ返してはいるが、

その目には何も映していなかった。


 シャマンは息が整うのを待ってから、大地に再びキスをした。

「っっ」

 大地はハッとして正気に戻った。必死で顔を背け、舌を侵入される前にどうにか逃れることができた。


「ひっ…くぅ、ふっ…!!」

 大地は顔をくしゃくしゃにして泣き始めた。

 今、自分の身に起こったことをうまく説明できない。ただ、圧倒的な恐怖と屈辱を味わわされたのは確かだ。

 あまりにも怖ろしくて、あまりにも恥ずかしいことをされた。その思いに幼い大地は飲みこまれそうになる。


 自分の腕の中にいる大地を見て、シャマンはなぜか胸がざわめいた。

 大地がこんな風に泣いているのは自分のせいだ。自分がこんな姿にさせた。

 そう思うと、大地が無性に愛おしくなって、頭の芯が熱を帯びてきたのが分かった。


 大地は手錠をかけられた手で、あふれ出る涙を拭った。

 だが両手が繋がれている上、2つの輪を繋ぐ鎖が邪魔をして上手くできない。

 シャマンは大地に折り重なったまま、それを手伝ってやろうと大地の頬に手を伸ばした。

 するとその瞬間、大地はビクッと身体を強張らせて叫んだ。

「イヤッ…!!」

 シャマンは目を見開いて固まった。大地は涙を瞳いっぱいにためて、シャマンを睨んだ。


 この男は、立場を利用して自分を貶め、辱め、支配しようとしている。そのことに無上の悦びを感じている。

 そんな下衆な男に、正義感の強い大地は激しい怒りを感じた。

 絶対に屈したくなかった。絶対に負けたくなかった。

 オレはお前の思い通りになんかならないんだから、と強く思いながら、大地は口唇を噛みしめてさらにシャマンを睨みつけた。


 重なって真上にのしかかったままのシャマンは、歯向かわれたことに意外そうな顔をする。

 珍しく親切心を出して優しくしてやろうとしたのに、それを全身で拒絶された。そしてそれになぜかショックを受けている自分。

 シャマンの中に再び冷酷なものが宿った。

「…こんな目に遭っても、まだそんな生意気な顔ができるのかお前は…」

 シャマンは嬲りがいのある大地が面白くて仕方ない、という風に笑いだした。

 大地はバカにされたと悔しくて、しゃくりあげながらもシャマンを鋭い視線で見つめ続けていた。


 シャマンは急に笑うのをやめ、冷めた表情でハッ、と息を吐き出してから身を起こした。

 おもむろに、横たわる大地の隣に添い寝するように寄り添う。再びシャマンが接近してきて、大地に戦慄が走った。

 シャマンは大地の肩を押して、向こうに向かせた。そして背中を向けた華奢な身体を、背後から強引に抱きすくめる。

 それは反抗した大地に、自分の力を誇示するような荒々しいものだった。大地は当然、ものすごく怖ろしかった。

「は、放せ!」

 焦って振りほどこうとする大地の首筋に顔をうずめて、シャマンは囁く。それは唸るような低いもので、大地の恐怖心をさらにあおった。

「お前は本当にバカだな。自分がいかにバカげた行動をしているか、身を持って思い知るがいい」

 シャマンの手が大地の身体を這いまわる。

 シャマンがまた同じことをしようとしている。大地は必死で抵抗した。

「いや、いやだ、いやぁっっっ!!」

「ふふふ…」

 当然、シャマンの力に敵うはずもなく、大地は傷ついたアナルを再び犯された。

 同じくラビも、ナブーから執拗な凌辱を受けていた。この地下室は、大地とラビにとって地獄と化していた。


 それぞれの部屋に戻れたのは、連れ出されて4時間後のことであった。

 さんざんおもちゃにされて大地もラビも1人で立つことができず、大地はシャマンに、ラビはナブーに抱えられて戻ってきた。


 シャマンは何も身につけていない大地を、ベッドの上に横たえた。大地はひどい恥辱に強いショックを受け、意識が朦朧としていた。

「新しい着替えはここに用意している」

 シャマンは枕元に服を置く。今まで大地が着ていたものは、自分がビリビリに破いてしまったからだ。

 なんの反応も見せない大地を、高圧的に見下ろすシャマン。裸の身体に乱暴にシーツをかけてやりながら、大地に言い聞かせた。

「これで終わりだと思うなよ」


『コレデ オワリダト オモウナヨ』


 大地の頭にシャマンの言葉が反響する。

 混濁する頭でその意味が理解できた時、涙があふれ出てきた。シャマンは大地の涙の筋が太くなるのを見て、満足そうに微笑んだ。

 そしてさんざん弄んだ少年を1人残し、部屋を出ていった。


 2人の看守が看守専用エリアに帰っていく足音が消えた途端、ラビの部屋から悲鳴混じりの泣き声が聞こえてきた。

 押し殺したいようだが、どうしても耐えきれずに嗚咽が漏れるようだ。辛くて悔しくて苦しくて…そんなラビとまったく同じ目に遭った大地は、その気持ちが痛いほど理解できた。


 大地はラビの声に共鳴するように、止めようのない泣き声を上げた。

「ぅ〜っ…ふ…んっ…!」

「ひっ…ぅ、く!」

 大地もラビも、お互いの泣き声が聞こえることで辛くもあり、少しだけ…ほんの少しだけ、救われたような気がしていた。

 2人は空が白み始めるまで、そうやって最低の一夜を過ごした。


「いや〜、最高だったな〜」

 看守部屋に戻るなり、ナブーはシャマンに語りかける。

「ラビはよォ、もう精通があるんだよ。オレがチンコこすったら、可愛く身体震わせてピュピュッて出したぜ」

 ナブーはその様子を思い出して、ぐひひ…といやらしく笑う。

「大地はどうだった?」

「大地はまだだ。あいつは何も知らなかった。精通どころかイクってことすら。セックスも何も分かっちゃいなかった」

「へぇ〜!今日が全部初めてで、それをお前から何もかも、無理矢理奪われたってわけだ」

 ラビと大地、2人の違いにナブーは興奮している。

「そりゃ調教のしがいがあるなァ、シャマン」

「ああ」

 シャマンはナブーにそう言われて、素直に同意した。


 まったくだ。大地はまっさらの状態でオレに犯された。

 これからイヤというほど、あいつの心を身体を、蝕んでやる。


 ソファに腰掛け黙っているシャマンを、ナブーは気に留める様子もなく続ける。

「ラビのヤツ、ケツの穴に突っ込むと普段のクソ生意気な態度が嘘みてェに大人しくなったぜ」

 面白そうに笑うナブーに、シャマンはピクリと片眉を上げた。

「大地はどうだった?ハメられた時はヒィヒィ泣いてたみたいだったけど」

 少年を性的に好むナブーは、大地の反応がとても気になるようだ。シャマンの顔を覗き込む目が爛々と輝いている。

 シャマンは少し考え込む様子を見せながら、呟いた。

「あいつは逆だったな…」

「え?」

「大地はレイプした方が反抗的になった」

 シャマンの発言に、ナブーは感心したような声を上げる。

「へぇ〜〜…見かけによらず、タフじゃねェか大地」

「…あいつはまだオレたちをナメている。オレたちに逆らえると思ってやがるのさ」

 静かに怒るシャマンに対し、ナブーはそんな大地に苦笑する。

「ならよォ、もっと厳しくしつけてやらないとな。『史上最年少』にオレたちがナメられてんじゃ、示しがつかねェ」

「……」


 最初にレイプした後の大地の目をシャマンは思い浮かべる。

 あの時、大地が哀れで、それゆえに愛しくて、思わず手を差し伸べてしまった。

 そんな行動をとってしまう自分に自分で驚いたが、あろうことかそれを跳ねのけ、拒絶した大地。

 シャマンの胸の中で何か熱いものがザワめいた。


「シャマン、今度はオレが大地で、お前はラビな」

 次回レイプする相手を交替しようとナブーは提案する。ナブーはより多くの子どもを味わいたいという考えの持ち主だったが、シャマンは違った。


「いや…大地はオレ専用のガキにする。お前は手を出すな」

 ナブーは驚いて顔を上げた。

 今までシャマンと数々の収容者をレイプしてきたが、1人の少年を『専用』にするなどと言い出すのは、今回が初めてだったからだ。

 何より、大地もレイプしたいナブーは不満を感じた。

「なんだよソレ。オレだって大地とヤリたいんだぜ?」

「オレをナメるとどういうことになるか…あいつにオレの怖ろしさを徹底的に思い知らせてやる…」


 ソファに腰掛けて、鋭い視線で真っ直ぐ前を見据えるシャマン。

 その迫力に、ナブーはしぶしぶ従うことにした。