スリーパーズ25
 もうすっかり朝晩の冷え込みがきつくなってきた11月のある日。

 1日の授業を終えた大地とラビは、夕食の時間まで、珍しく各々の部屋で過ごそう、ということにした。

 1人になりたくないという思いから、時間が許す限り大地とラビはいつも一緒に過ごす。

 だが、ほぼ毎晩のようにシャマンやナブーがやってきてレイプされるため、2人ともひどい睡眠不足だった。なので今日は、短時間でもいいから休もう、ということにした。


 とは言ったものの、大地は落ち着かなかった。今日は日中、シャマンが一度もちょっかいをかけて来なかったのだ。

 かえってそれが不安だった。また何か怖ろしいことを企んでいるのではないか。

 横になる気にはならず、大地はソワソワしながらベッドに腰掛けた。


 すると、カツン…カツン…と、廊下に足音が響き始めた。

 自由時間のため、在院者が歩いていても不思議ではない。だが少年らはゴム底の運動靴を履かされている。あんな硬質な音が立つことはない。

 夜中に忍びよるあの不気味な音と同じもの。靴音の正体はシャマンに違いない。

 大地は喉の奥がきゅっとせばまるのを感じた。


 部屋の前で靴音が止まる。

 大地が扉の上方にある格子窓に視線を移す。

 予想していた通り、そこにはシャマンの姿があった。


 シャマンは当然のように、大地の部屋に入ってくる。大地は身構えてベッドから立ち上がった。

 緊迫する大地をちらりと見て、シャマンは無言で奥にある椅子を部屋の中央へと引っ張り出した。

 それはベッドに平行に、ただし向こう向きになるよう背を向けて置かれている。シャマンは椅子とは反対側のこちらを向いて、その上に跨った。

 そして、胸の前にある背もたれに腕を置きながらにやりと笑って言った。

「オナニーショーを観に来たぞ」


「…?」

 大地はシャマンの言った意味が分からなかった。シャマンは肩を一度揺らせて笑い、はっきりとした口調で言った。

「分からないか?大地が自分でペニスをこすって気持ちよくなってるところを、見てやろうと言ってるんだ」

「な…!」

 大地はあまりのことに顔を真っ赤に染めた。この男は、性的なありとあらゆる手段で、大地を辱めようとしている。

 大地は我慢ならず拒絶した。


「イヤだ…!」

「早くしろ。オレを愉しませてくれ」

「イヤだ!なんでそんなことしなくちゃならないんだよ!」

 頑なに拒む大地を見て、シャマンはおもむろに立ち上がった。

「ふふん…」

 シャマンが近づいてくる。大地は身体を強張らせた。知らず知らず、ズボンの端をギュッと握りしめていた。


「まだまだオレの言うことを聞かないお前のことだ。そう言うと思ったよ」

 思ったとおりの大地の反応に、シャマンはどこか嬉しそうな様子を見せている。

 大地の目の前まで迫って続けた。

「やり方が分からないのなら、オレが直々に教えてやる」

「……!!」

 最初からこれが目的だったのだ。この男の品性はどこまでいやらしく、どこまで下劣なのだろう。


 大地は目前の男から逃れようと身を捩ったが、すぐに察知したシャマンはそれを許さなかった。

 大地の胴体を長い腕で楽々とすくい上げ、ベッドに引きずり込んだ。


「や…イヤだってば!放せよシャマン!」

「そんな態度だから、オレにこんな目に遭わされてるんだ。まだ分からないのか。お前は本当に強情でバカなヤツだな」

 シャマンは大地を背後から抱え込んでベッドに腰掛ける。

 必死で抗っても大人の男の力には到底敵わず、服の中へたやすく手の侵入を許してしまった。

「やめろォ!」

「ククク…」

 抵抗する大地を愉しむように笑いながら、その幼い身体をまさぐる。胸の突起を探り当て、そこをつまんで悪戯した。

「あっ…!」

 くりくりと巧みにこねくられ、大地は思わず声を上げた。その隙にシャマンはもう片方の手で、大地の性器をズボンの上から撫で上げた。

「ふぅんっ!」

 大地はシャマンの手をどうにか払いのけようとしたが、逆にその手を上から掴まれてしまった。

 胸をまさぐっていたシャマンの左手は、大地のお尻側からするりと服の中に入り、そのままトランクスごとズボンをひん剥いた。大地はあっと言う間に、靴下以外の下半身を丸裸にされた。

 シャマンの鮮やかな一連の動作は、在院者に対して同様の虐待を幾度も行っていたことを物語る。

 そんな卑劣な男に自分は目をつけれられてしまった。大地にゾッと戦慄が走った。


 シャマンは大地の胴体を左腕ごと後ろから抱きすくめ、抵抗を完全に封じる。

「ほら、自分でペニスを握れ」

 シャマンは大きな手のひらで大地の手を上から掴み上げ、その部分に導く。大地は拳を握りしめて抗った。

「イヤっ!嫌だ!」

 目をギュッとつぶって前屈みになるそのうなじに、シャマンは舌を這わす。

「……っ」

 シャマンは覆いかぶさっている大地の拳を無理矢理こじ開けようと、指をからめる。

 それでも頑なに手を握りしめようとする大地の耳をシャマンは狙った。

 じゅる…という卑猥な水音とともに、耳の中を舐められる。大地の力がわずかに緩んだその隙に、シャマンはその小さな手を開かせ、自分の手のひらごとペニスを握らせた。


「…こうやってするんだ」

 耳もとでシャマンが低く囁いた。

 意に反して自分自身でペニスをこすらされる。大地はたまらなかった。

「あぁっ、はぁ…やめて…っ」

「お前はそう言うが、ここは大きくなってきたぞ」

 ペニスは自己主張をし始め、固く勃起している。否が応でも手の感触でそれを自覚させられ、大地は赤面した。

 自慰を強制されている大地の腕は、シャマンの誘導により上下に大きく揺らめいている。

 大地はもう泣きながら訴えた。

「やめ…ろ…あっう、放してェ」

 シャマンはそれを無視して、大地の手の上から自身の指をペニスの先に伸ばした。


「!」

 シャマンは大地の性器の先端部、少し皮をかぶっている部分をゆっくりと剥き始めた。

 ぷっくりとしたピンクの亀頭が露出された。ピリピリとした痛みがペニスから下半身全体に走り、大地は悲鳴を上げる。

「ひあっ!痛…痛いっ」

「ここをこうすればもっと敏感になる。まだ射精したことがないんだ、これでイケるか試してみよう」

 初めて外気にさらされたそこを、シャマンは容赦なく指で刺激する。その間も休みなく手の上下運動は続いており、大地はあえいだ。

「あん、あっ…くんんっやめてっ!」

 ペニスの先からは透明な液が染み出している。シャマンはくぐもった笑い声を漏らした。

「ふっ」

 大地の顔は上気し、無理矢理でも与えられた強引な快感に戸惑っている。

 興奮したシャマンのペニスは、大地の裸のお尻の下で大きく膨らんでいた。


 大地のペニスの先から染み出た液体が流れ落ち、手の動きを潤滑に促す。

 相変わらず手は添わされている。自慰を強要される大地は恥ずかしさと屈辱と、それと同じぐらい生じている大きな快感に頭が混乱していた。

「ふぁ、あうっ、ぁっぁっ」

 大地の甘い声に恍惚としながら、シャマンは手の速度を速めつつペニスの先を指でくすぐった。

 その瞬間、大地の身体がびくりと大きく震えた。


「あぁんっ…!!」

 大地が切なげな声を上げて絶頂に達した。

 その時、ペニスの先から白い液が飛び出した。

 大地はびくびくと身体を大きく痙攣させながら、シャマンの手の中に精液を放つ。

 シャマンはそれを手のひらですべて受け止めた。