スリーパーズ34
今度はナブーが大地の後ろに回る。
クイズの特性上、今はシャマンが大地のアナルに触れることはできない、オレが代わりに大地のアナルに受け入れる準備をさせてやる、ということを言っていたが、単に大地の身体を
堪能したい口実にすぎないことをシャマンは見抜いていた。だが、そのまま好きにさせることにした。
「お〜ぅおぅ、相変わらずちっさくて可愛い穴してんなァ」
ナブーは床に跪いて、大地のアナルを目の前で凝視する。この粘着質な視線。2ヶ月前に地下室でさんざんおもちゃにされた時も感じたが、大地は気持ち悪くて身の毛がよだつ思いだった。
ナブーはゆっくりと両手の親指で双丘を割り開く。
「〜〜〜〜っ…やぁっ」
大地は目をギュッとつぶって叫ぶ。シャマンはその顔を見てさらに欲情した。
ローションがたっぷりとかかっているため、ナブーがアナルを開いた瞬間、ちゅっ、という音がした。
「うあ、たまんね」
ナブーはそうひとりごちて、内腿に落ちているローションをすくって自分の中指にまぶし、ゆっくりとアナルに挿入していった。
「うんっ…!」
大地は思わず声を上げる。シャマンは他の男に触れられている大地を見るのは初めてだった。胸が急に重苦しくなり、なんとも言えない気持ちになったが、他の男の手によってあえぐ大地を見て、
激しい昂ぶりが生じていることも事実だった。
「奥の方もたっぷりね〜」
そう言ってナブーは、一度抜いた指にローションを再度つけて、今度は薬指も共に挿入した。
「あぅぅっ!」
2本の指が奥深く侵入し、大地は呻いた。その指が敏感な部分にあたって、腰がビクッと無意識に揺れる。
「あぁっ!」
「はは、ここがイイんだよな〜大地は。すっげェ締めつけてくる」
大地の反応に気をよくしたナブーは、息を荒げて悦んでいる。
敏感な部分を刺激されて、大地のペニスは勃起していた。ナブーはそれを目ざとく見つけてもう片方の手で愛撫する。
「あん、やぁっ、ぁん…んんっ!」
ペニスを上下にこすりながら、ナブーはアナルに挿入した指をズポズポと出し入れしていた。一番奥に入った時、指の先で刺激しているのだろう、一瞬手を止まらせて小刻みに振動させている。
「ふぅっいや、いやぁ…あうう!」
大地は泣きながら激しくなってくる愛撫に耐えていた。ナブーはそれを見てハァハァと興奮気味に言う。
「たぁっっぷり塗っとかないと、怪我しちゃうかもしれないもんなー」
それを聞いて、やはり警棒を挿入されるんだと大地は確信した。コツ、コツと靴音をさせてシャマンが近づいてきた。そろそろやめろという合図だ。
気分がノッてきたところだったのでナブーは心残りだったが、仕方なくシャマンに譲った。
「さぁ大地。オレの指か警棒か、どっちか当てろ」
背後でそう言うシャマンを大地が振り返れないよう、ナブーがその首を抑える。
「い、いやっ!!」
必死で身を捩る大地を見て、ナブーがふと疑問を口にした。
「なぁシャマン、このクイズって当たったら何かプレゼントあるのか?」
「ああ、そうだなァ…当たったら『看守とセックスができるチケット』プレゼント、ってのはどうだ?」
「それいいな!逆に外れたら罰ゲームで『看守にレイプされるチケット』をプレゼントするってのは?」
「フ…どちらも強制使用のタイプでな」
「ガハハ!!うわ〜、どっちに転んでもオレたちにとっちゃオイシイな!!」
そんな冗談を言い合う男たちが、大地は心底怖ろしかった。
こいつらは、自分をいたぶること、こと性的に自分を追いつめることに無上の悦びを見出しているのだ。
テーブルの上でガタガタ震えている大地の脚を開いて、シャマンは小さく呟いた。
「こっちにもローションをよォく塗っとかないとな」
ぷちゅ、くちゅ…という音が小さく聞こえる。大地にはあの黒くて長い警棒が、ぬらぬらとローションで光る姿が見えた気がした。
「しかしよォ、オレそんなもので腹の中かきまわされると思うとゾッとするぜ」
頭上でナブーがシャマンの方を見ながら、心配そうな口調で言った。大地の心臓がとてつもなく速く大きく鼓動し始めた。
怖い。怖い。怖い。
「大地、怖いか」
その心を見透かすように、シャマンは大地の顔を覗き込む。
大地は素直にコクン、と首を縦に振った。そして、顔をぐしゃぐしゃにして泣いて訴えた。
「〜〜―――…っ、イヤ…警棒はイヤだ…ぅぅー…っ」
その姿に、少年愛者のナブーは言うまでもないが、シャマンもムラムラと性的な嗜虐心をあおられた。
「なに、まだ警棒を入れると決まったわけじゃない」
シャマンは大地を慰めるように優しく言い、耳もとへ軽く何度かキスをした。それは大地にとって、脅威を感じる行為に他ならなかった。
すぐにシャマンは別人のような冷たさで言い放った。
「だが、これは『お仕置き』だからな」
そう言われて、やはり警棒を入れられるのだと、大地は恐怖のどん底に突き落とされた。挿入の体勢に入ろうと、シャマンは身を離す。
「い、イヤ…いやだっ、いやあああっ!!!」
振り向いてどうにか逃れたかったが、ナブーにがっちりと首と腕を押さえられている。下半身はシャマンが今からの挿入準備をしながら、大地の自由を奪っていた。
大地の左の尻が、ぐい、と外に拡げられる。そしてひんやりとしたものがアナルにあてがわれた。
「……!!」
この感触は警棒だ。硬質で冷たく、殴られた時に受けた重み…まぎれもなくあれだった。
あの長いものを、こいつらは調子に乗ればどこまで入れるか分からない。イヤだと言えば逆に悦ぶし、イイと言えばそこを執拗に責める。
こっちのことなんかどうだっていい。要は自分たちの性欲や支配欲がどこまで満たされるか。そんなことしか考えていないのだ。
だからこそ、今こうした状況になっている。アナルの入り口で角度を確かめているのか、ぐりぐりとさまよっている警棒の先を感じながら、大地はこうなった今に至る全てに思いを馳せた。
「さあ、メインイベントだ」
シャマンは相変わらず警棒の先で大地のアナルを凌辱しつつ、息を荒げていた。その声は少し上ずっていた。
「…ひ…」
大地は恐怖で胸がいっぱいになり、押しつぶされそうになった。瞳からは大粒の涙がぽろぽろとこぼれる。
なんにもすがるものがなく、ナブーが押さえている自身の腕が間近にあるのに気づいて、その袖口で口元を覆った。
その間、シャマンとナブーは大地を挟んで視線を合わせ、目配せしていた。シャマンの合図にナブーは無言でうなずき、2人はニヤリと笑った。
大地のアナルにずっとあてがわれていた警棒が、いったんそこから退いた。
だがすぐに同じ場所に現れて、そのまま間髪いれず、ぐっ、と侵入してきた。
「やあっあっ!!」
大地はアナルの中に入ってくる感触に、ふと違和感を覚えた。
鉄製のものにしては柔らかく感じる。自分の体内に適応しうる、柔軟な物体に思えるのだ。警棒だときっとこうはいかないだろう。
挿入されてとても痛いし、お腹もいっぱいになってとても苦しい。だが大地にとって、この感触は初めてではない。
これは。今自分の中に収められているこれは。
「…大地ィッ…今お前に入っているのは…何だ…?」
背中から覆いかぶさっているシャマンが、息をあえがせて聞いてくる。大地の左側の机上には、シャマンが左手をついていた。そして右側にはシャマンの右手に持たれたローションまみれの
警棒が見えた。
「ガハハハハ!!」
ナブーは大口を開けて大笑いしていた。
大地は自分がからかわれていたことに気づいて、とても悔しかった。
警棒を入れられると思いこんで狼狽する自分を見て、最初からその気のないシャマンたちは、さぞや可笑しかったことだろう。
こいつらの興奮をあおるような反応をしてしまった自分を、大地は恥じた。
