スリーパーズ48
 シャマンはいったん大地の口唇から離れ、Tシャツを脱がす。

 頭からTシャツが離れていく。大地が無言で身を任せていると、シャマンが手をとり自分のYシャツの襟元に持っていった。


 大地はシャマンの顔を見る。シャマンは大地の手でシャツを脱がせてほしいようだ。

 その思いに気づいて、震えながら指先に触れるボタンを上から順に外していった。

 シャマンはそんな大地をじっと見つめている。止めていたボタンをすべて外して、大地はそっとシャツをはだけた。シャマンの鍛えられた胸板が現れる。

「っ…!」

 シャマンは大地をギュッと抱き寄せた。互いの肌がじかに触れ合う。

「んっ…」

 思わず大地は声を上げてしまった。

 …もしかして、オレ…と、自身に芽生え始めたある感情に気づきはじめた時、シャマンが再度くちづけてきた。


 ぴちゃ、ちゅっ…と唾液がからむ音。触れあう肌と吐息。

 細いけれど大きなシャマンの手が大地の背中を行き来している時、大地は自分でも知らず知らずシャマンの首に両腕を回し、より深いくちづけを求めていた。

「ぁはっ…あ、んんっ」

「…はぁ、っ…大地…」


 シャマンは自分を愛していると言った。こんな方法でしか愛せないと。

 では自分はどうなのだ?もしかして、オレもシャマンを愛しているのだろうか?

 愛だの恋だのは正直まだよく分からないが、シャマンとこうなれたことに対して、恐怖とともに喜びを感じている自分がいる。


 シャマンの指が大地の胸の突起をつまみあげる。

 その小さな花は、ほんのりピンクに色づいていた。大地の頬も同じように、桃色に染まっている。

「あっうんっ、んふっ…」

 大地の首筋にシャマンが吸いつく。だんだんと激しくなる愛撫に自然に声が高くなった。


 今日自分がここへ来たことは誰も知らない。

 美恵も、大空も。もちろんラビも。

 こうなってしまったことをラビに言ったら、軽蔑されるだろうか。

 それとも同じようにレイプの恐怖に怯えているなら、少しは理解してくれるだろうか。


「っ…!」

 そんなことを考えていると、シャマンの手が大地のペニスに伸びてきた。ハーフパンツ越しとはいえ、敏感な部分に触れられて大地はびくりと身を震わせた。

 もうすでにそこは勃起している。クスリと笑うシャマンの声が耳もとで聞こえた。

 大地が真っ赤になっていると、シャマンが低い声で囁いた。

「…どうしてほしい…?」

「っ…」

 どう答えてよいか戸惑う大地に、シャマンはさらに甘い囁きを繰り返す。

「お前の望むようにしてやる…ここを、どうしてほしいんだ」

 シャマンの指は、布越しではあるが器用に大地のペニスを挟んで刺激を与えてくる。

 少年院で何度も弄んだそのペニス。見えずとも形を指が覚えているようで、その絶妙な愛撫に大地は腰が自然に浮き上がるほどの快感を感じていた。


「あ、ふっ…、ちょっ…直接、さわって…ほし、い…っぁっ」

 大地の要望を聞いて、シャマンは再び笑ったようだ。首筋にまとわりつく吐息の量が増え、一気に熱くなるので大地は気づく。

 シャマンは大地のハーフパンツのウェストのひもを緩め、まずお尻の方から手を差し入れる。

 そして少し持ち上げ、ペニスを露出させるためハーフパンツとブリーフを一緒に脱がした。それらは左脚を抜けたものの、右脚首にはだらしなく残されていた。

 大地のペニスは、ぴくん、ぴくんと小さく揺れながら上向いている。ピンクの亀頭が少しだけ顔を出し、その先は少し濡れていた。

 そんなペニスを見てしまうと自分が興奮しているのを自覚してしまうので、大地は恥ずかしくて目をつぶり、顔を背けた。


 その瞬間、シャマンの長い指が大地のペニスに伸ばされた。

「くぅんっ」

 仔犬のような声を上げて震える大地の耳もとを追いかけ、シャマンが囁く。

「触ったぞ。これでいいのか?」

 シャマンは人差し指1本で、大地のペニスをゆっくりとなぞり上げている。

「んんっ…ふぅっ…」

 触れるか触れないかという微妙なタッチでシャマンは指をたぐる。

 意地悪でじれったい愛撫。大地はたまらず言った。

「…もっと…っ、ちゃんと…ぁっ…シャマン…!」

「『もっとちゃんと』どうしてほしいんだ」

 人差し指の腹で、幼いペニスの鈴口をくすぐる。焦らされて焦らされて、大地の腰がジンジンと疼きだした。

「はあん、ぁ…!ちゃんと、触って…!」

「触ってるじゃないか、さっきから」

「うぅん、そんなんじゃっ…なくって…!」

「こうか?」

 シャマンはいきなり大地のペニスを手のひらで掴んだ。


「っ!」

 ペニスを突然大きな手で包まれて、大地は背中をのけぞらせる。

「この後はどうすればいい」

「……」

 どこまでも意地悪なシャマンに、大地は真っ赤になりながらも願望を口にした。

「っ、こすって…ちんちん、こすって…」

 焦らされたことと恥ずかしさで涙目になる大地を見て、シャマンは激しく昂ぶった。その大地を悦ばせてやろうと、シャマンは左手を上下に強く動かした。

「ひあ!あっ…ぅんっ!」

 待ちわびた刺激に大地は歓喜の声を上げる。シャマンのペニスも、大地のお尻の下で自己主張を強めている。

 シャマンは、自分の腕の中であえぐ少年の華奢な肩を抱き寄せる。背中から回した腕はそのまま胸の小さな突起へと伸びて、こりこりとそこを悪戯している。その刺激で官能の声が甘く漏れている

口唇にくちづけた。


 ペニスは相変わらずシャマンの手で摩擦されている。その先端には快楽を如実に物語る液体があふれ出し、手の動きを円滑にした。

「ふぅっ…はぁ…」

「あぁ…」

 互いの口唇の隙間から甘い声が漏れる。大地はしびれる頭の片隅で思った。


 きっとこのまま、射精させられるだろう。そしてシャマンのペニスをフェラチオすることになる。

 その後はアナルを舐められ、指をそこに入れられて…シャマンのペニスに自分からまたがって挿入するのだろう。


 すべて、自分が望んだことだ。

 シャマンの怖ろしい幻影に毎日苦しめられるのなら、その原因を打ち砕けばいい。

 シャマンに犯されるんじゃない。オレがシャマンを犯しに来たんだから。