スリーパーズ49
「はあっ、あ…―――っ…!」
そんなことを思いながら、大地はシャマンの手の中で果てた。
白い精液は小さく宙を舞って、自分の胸やシャマンの腕に飛び散った。
肩で息をしながら余韻に浸る大地が落ち着くのを待って、シャマンは自分の上から降りるよう促した。
大地はラグの上に降り立ちながら、脚首に落ちたズボンとブリーフを外した。そうしながらシャマンを見ていると、車椅子でベッドへ向かっている。
刺された傷に障るらしく、ガク、ガクと不安定でぎこちない動きながらも、シャマンはゆっくりと立ち上がってベッドに腰掛けた。
「こっちへ来い」
シャマンは大地を呼び寄せた。
「オレのペニスを出して、しゃぶれ」
ほら、やっぱり。オレの思った通りだ。
大地は素直にシャマンの元へと歩んで、目の前の床にしゃがみこんだ。そのままベッド上のシャマンを見上げた。
シャマンのズボンのベルトをはずし、大きく隆起しているペニスを出すためファスナーを下ろす。中から覗いたボクサーパンツには染みができており、布越しに形がはっきり分かるほど張りつめていた。
大地はボクサーパンツに手をかけ、下にずらした。その瞬間、シャマンのペニスが躍り出た。
23歳のペニスは怒張しており、若く猛々しかった。このペニスに幾度も蹂躙されたはずなのに、大地は少しの躊躇もなく口にした。
頭を前後に揺らして喉の奥で亀頭を締めつけたり、舌で裏筋を下から上に舐め上げたり。
片手で根元を支えながら、大きなペニスを懸命に頬張る。ちゅば、じゅぶ…と唾液の音が室内に響いていた。
それに混じって、シャマンのハァ、ハァ、というあえぎ声も聞こえている。
「初めてフェラチオする時はあんなにイヤそうだったのに…こんなに美味そうに咥える日が来るとはな」
「…はぁ…はぁ…」
頭上から意地の悪いシャマンの声がする。大地はそれすらも悦びに感じていた。フェラチオをしているだけなのに、自身のペニスはもう大きくなっている。
大地はそっとシャマンの顔を見上げた。シャマンも大地を見ていたようで、目が合った。
ペニスを咥えている大地は、何とも言えない夢心地のような、うっとりとした表情だった。
大地が、自分のペニスを恍惚とした表情で舐めている。そのことがシャマンを一気に昂ぶらせる。
「っ…!出すぞ…、大地っ…っ!!」
「!!」
大地の口の中で、シャマンは白濁を放った。口内に凄まじい勢いで流れ込んでくる精液を、大地はなんとか舌で受け止めた。
少年院で何度も口内射精された時、少しでも苦しまなくて済むよう自分で編み出した方法。こうすれば喉の奥に精液が流れ込まず、むせることもえづくことも、最小限に抑えられる。
ホッとした大地は、口の中の精液を目をつぶって飲みこんだ。
舌の上に広がる苦い精液の味は相変わらずだったが、シャマンを積極的に追いつめ凌駕したことに大地は満足していた。証拠となる精液を飲むことで、その気持ちがより強まった。
一方シャマンは、自分の脚の間にうずくまり、精液をコクリと飲む少年を見て、もうたまらなかった。小さな肩を掴み、ベッドに引きずりこんだ。
「あっ」
強引に横に寝転ばせて、シャマンはその上に覆いかぶさった。
靴下以外身につけていない大地は、久しぶりにシャマンに押し倒され、その身体の大きさ、自分との体格の差を改めて実感する。だが、不思議と恐怖心はなかった。
…だって、今日はオレの意思でこうなったんだ。オレがシャマンの身体を好きにするんだから。
シャマンは大地の脚を正面から割り開く。幼いペニスが勃起していた。
シャマンの視線がそこに注がれているのに気づいて、大地は恥ずかしくてそれを両手で隠す。シャマンは何も言わず、そんな大地の腰を少し引き寄せた。そして太腿の裏に手をかけ、ぐい、と
大きく向こう側に押し拡げた。
自然に露わにされた大地のアナル。1ヶ月ぶりにその小さくて少し桃色に色づく可憐な蕾を目にし、シャマンはしばらくその部分を見つめていた。
大地がそれに気づいて再びそこを隠そうと手を伸ばす。シャマンは拒むようにアナルに近づき、舐めた。
「っ…あくっ…!」
間に合わず後ろを責められ、大地は目をギュッとつぶった。シャマンは奥まで舌を這わすことができるよう、両手でアナルを拡げる。
「ひぁっ…あうぅん、あっ、ぁっ」
ゾクゾクと、腰になんとも言えない快感が走る。大地は力が抜け、行き場がなくなった両手で隠し続けていたペニスを解放した。
その途端、シャマンは大地のペニスを掴んだ。そしてまた上下にこすり出す。
「〜〜――っああっん、んぅ、…ふぁっ!」
アナルにはぬめぬめと舌が這い、ペニスは激しく摩擦される。大地は限界だった。
「あっまたっ…やっ、ああ!」
ぴゅるっ、と勢いよく飛び出した精液は、大地自身の腹や顔を白く汚す。
目をつぶり、ハァ、ハァと息を荒げてベッドに寝転ぶ大地をそのままにして、シャマンは思うままに動けないながらもベッド脇のローチェストから容器を取りだした。
ふたを開け、透明でドロリとした液体を手のひらに垂らす。そのままその手を大地の脚の間へ差し入れた。
「っ…」
ぬるりとした水状のものが、先程まで舐められていた部分に触れ、大地は驚いて目を見開く。だがすぐに触れているものの正体がローションと分かり、指が入ってくることを予感して、肩をすくませた。
シャマンは大地の双丘周辺にローションをたっぷりつけながら、自身の指にも丁寧にまぶした。その指をアナルにあてがい、ゆっくりと挿入した。
「んん!」
大地のアナルはいともたやすくシャマンの細く長い指を受け入れた。シャマンは中を刺激しながら、もう1本指を増やす。
「〜っ、は…」
アナルの入り口が拡張されて痛みが生じるものの、大地はシャマンの指をしっかり締めつけていた。シャマンはフ、と笑って、大きくなりかかっている大地のペニスを正面から咥えた。
「うあっ」
シャマンは口中で大地のペニスを刺激しながら、アナルに入れた指を巧みに出し入れする。
その指は、大地のアナルの一番敏感な部分に触れるのか触れないのか、曖昧な行き来を繰り返す。それでいてペニスのあらゆるところにレロレロと舌を這わされ、大地はまたもや射精しそうだった。
「ひんっ…はっ…あぁ、あん、あんっ…ぁっ」
身を固くして目をつぶる大地を見て、シャマンは大地のペニスから顔を離した。同時にアナルからも指を抜く。
「ぅぅんっ」
突然愛撫のすべてをやめ、自分の脚の間で乱れた服を次々脱いでいくシャマンを、大地はぼぅっとした表情で眺めていた。
細いが均整よく筋肉のついた胸や腹。この身体が何度も自分の上で上下し、そのたびに苦しい思いをした。それなのに今、自分は逆にこれを求めている。
視線を何気なく腰へと移動させると、大きな傷が目に入った。
ホークに刺されてできた傷。当然ふさがってはいるが、引きつれた皮膚や赤味がかった傷跡が痛々しい。大地はショックだった。
シャマンが哀れで、そしてなぜか、愛しく思えた。
シャマンは無表情でこちらに近づいてきて、大地にそこをどくよう指示する。大地は身を起しておずおずとベッドの脇に移動した。
先程まで大地がいた場所にシャマンがどっかと寝転ぶ。そして手にしたローションの容器を大地にポンと投げ渡した。
「それをお前の手でオレのペニスに塗ってくれ。その後はお前の好きにしろ」
シャマンの指は自身のペニスを指している。素直な大地は、自然に誘導されてそこを見た。
そこには、フェラチオをした時よりもさらに大きく勃起している大人のペニスがあった。固く反り返ったペニスはシャマンの腹へと伸び、はちきれそうな裏側を見せつけていた。
「ぁ…」
ドクン、ドクン…と大きく脈打つペニスと同じように、大地の鼓動も大きくなる。
このローションを塗って、その後はオレの好きなように…。
大地はシャマンの言葉を反芻しながら、ローションを右の手のひらに垂らした。そしてシャマンのペニスにゆっくりとまぶしつけた。
「っ…くっ」
シャマンの腹が快楽でわななく。てらてらと妖しい光を放つペニスはさらに膨張し、大地は熱に浮かされたように行為を続けた。
「っ…、ローションの量、もっと増やした方がいいんじゃないのか?はっ…この後、お前が辛いぞっ…」
喘ぎながらシャマンが提案する。
シャマンの言う『この後』。
少年院での虐待の中で、大地が最も嫌いだったこと。そしてシャマンが最も好んだこと。
確かに、大地の手の中のペニスは一層膨らみ、硬くなっている。いくら自分が望んだことでも、これを受け入れるのは容易くないだろう。
大地はシャマンによくそうされたように、ローションの容器を逆さにして中身を大量にペニスに垂らした。シャマンの身体を滑り落ちたそれらが、ブラウンのベッドシーツを色濃く染める。
ぶちゅっ、ずちゅ…と大地が手を動かすたびに下品な水音が大きく響く。シャマンは顔を歪めている。快楽と闘っているようだった。
それを見て、あのシャマンを自分が追いつめている、と大地はさらに高揚した。
大地はぴた、と手の上下運動を止めた。
『この後』がきた。大地の鼓動が激しくなる。
シャマンを犯す。
オレがシャマンを犯してやる。
そう決意し、大地はまずシャマンの腰に跨った。大地のペニスもピンと上を向いている。お尻のすぐ真後ろにシャマンの勃起したペニスが、ビクビクと揺れているのを感じる。
一方シャマンは、大地がどのように自分を迎え入れるのか知りたくて、じっとその動きを見つめていた。
まだ幼くあどけない少年が、先程からあられもない痴態を繰り広げ、ペニスを勃起させている。
それはすべて自分のせいなのだ。
何も知らない子どもに同性愛の性的虐待を繰り返し、恐怖に苛み、支配した。その結果、自分の幻影に怯え、それを払拭したいという思いから、一見自発的に見える性行為をさせている。
その子どもが遥大地なのだ。少年院で見つけた、他の誰でもない愛すべき遥大地。
シャマンは言いようのない幸福感で満たされた。
