殿と大地之助 3
 いくら優しそうな人でもお殿様と2人きりになって、大地之助は身体を固くしている。

 そんな大地之助の気持ちを解きほぐそうと、殿は明るい声で言った。

「まあ、ゆったりしてくれ。これから長い付き合いになるんだ。そう緊張していると身が持たないぞ?」

「はい」

 大地之助は殿の気遣いに安堵の表情を浮かべる。

「私は、以前何人かのお小姓を仕えさせていたが、最近はなかなか気に入る者がいなくてな。

お前のように純粋に、心から精一杯頑張るという者が現れてくれて、嬉しいよ」

 大地之助は笑ってうなずいた。

「家臣からあらかた説明は受けただろうが、お小姓という仕事は私が公務のとき以外ずっと私について世話をするものだ。主に身の回りのことをしてもらう。

なに、難しいことではない。私の言う通りにしてくれていればそれでいい」

「はい…慣れるまでお殿様には何かとご不便をおかけしますが、頑張ります」

 殿は大地之助の輝くような笑顔を見て胸が高鳴った。

「ああ、よろしく頼むぞ。それから『お殿様』じゃなくて『殿』でいい。お前も皆と同じようにそう呼びなさい」

「はい、殿!」

 初めて子供らしく無邪気な様子を見せる大地之助。

 殿はそんな大地之助に言いにくそうに言った。

「…身支度の他に、お小姓にはとても大事な仕事がある。…それが…『夜伽』だ」

「よとぎ?」

 聞き慣れない言葉に、大地之助は首を傾げた。

 殿はドギマギと顔を赤くしながら続ける。

「ああ…お小姓は朝から晩までずっと1日中私と行動を共にする。それはその…布団を共にするということだ」

「……」

 大地之助は、殿と一緒に寝るなんて、とものすごく恐れ多い気持ちになった。

 お小姓ってすごいんだなぁ…と自分がその立場なのを忘れて、他人事のように思ってしまう。

「布団を共にするということは…私と契るということだ」

「ち…ぎる?」

 またもや初めて聞く言葉。

 大地之助はちんぷんかんぷんだったが、訳が分からないなりに殿がなんだか落ち着かない様子を見せていることだけは分かった。

「まだ大地之助のような子供には難しかったかな、ハハ…」

 照れ笑いする殿に、大地之助は今までの殿の説明を聞いてなんとか頭を整理した。

「…僕が、殿と同じ布団で一緒に寝て契る…ということですか?」

 言われたことをそのままに復唱して言ってみる。

 殿は苦笑しながら、どうもピンと来ていない大地之助を見た。

「じゃあ、今から教えてやろう。隣の部屋に布団が敷いてあるから行こう」

 殿が障子を開けると、大きな布団がドンと用意されていた。



 行灯の灯りが、薄暗く部屋を照らしている。

 殿は掛け布団をはぐり、大地之助を座らせた。

「私の言う通りしていればいい。何も怖いことはないからな」

 そう言って殿は長襦袢姿になる。

 大地之助は今から殿が何をしようとしているのか見当がつかず、少し不安だった。

「大地之助…」

 殿は大地之助を優しく抱き寄せた。

(わ…!!)

 ふわり、と殿の匂いがして、大地之助は頬を紅潮させる。

 家族以外の者に抱きしめられるなど経験のない大地之助は、内心かなり驚いた。

 しかも殿様に…。自然に胸がドキドキと音を立てる。

 しかしその抱擁は心地良く、現実ではない、どこか夢のような感覚を覚えた。

 そんな大地之助の顔に、殿の顔がゆっくりと近づいてきてそっと口づけた。

「……!!」

 突然のことに大地之助は戸惑ったが、その柔らかな感触がなんとも言えず、震えながら静かにそれを受け入れた。

 殿は、花びらのように可憐な大地之助の唇に自分のそれを重ねながら、口の中に舌を侵入させた。

「っんっ…!」

 大地之助は思わず声を上げた。

 殿の舌は大地之助の歯列をなぞり上げ、舌を見つけて絡みついてくる。

 大地之助は息苦しさと共に頭の芯がボーっと熱くなるのを感じた。

 お互いの唾液でピチュ、クチュ…という音が響く。殿は深く口づけたまま大地之助の帯を解いた。

 急に身体が締め付けから開放されたと感じた大地之助は、手を胸元に差し入れられてピクリと反応した。

「あ…っ」

 殿の指先が大地之助の桃色の突起を捉え、クリクリと悪戯する。

 そして殿の口唇は大地之助から離れてだんだんと下に下りていき、何も知らない真っ白な胸に吸い付いた。

「くふっ…」

 わななく胸元にいくつかの赤い点をつけ、もう片方の突起を口に含む。

 固くした舌でチロチロと小さな花を弄ぶ殿。

 殿が自分に何をしているのか分からず戸惑う大地之助だったが、その愛撫に次第に翻弄され始めていた。

 殿はハァハァと息を荒くして大地之助の身体を貪っている。殿の男根は大きく反り返っていた。

 殿の行為に大地之助も息を喘がせ、着物の裾からは汚れを知らない無垢な脚が飛び出している。

 殿の右手は真っ白な太股を撫でさすり、その間にある大地之助のおチンチンに触れた。

「はっ…!!」

 他人に初めてそこに触れられて、大地之助はのけぞった。

 殿はまだ毛の生えていない、子供のままのおチンチンを指先で軽くいたぶる。

「ふっ…あん…ぁっ…」

 そこはまだ息づいていないが、大地之助は殿の指の動きに応じて声を高くする。

 大地之助は自分のその声を聞いて、口を押さえた。

「どうした、大地之助」

 大地之助の肩を抱き寄せ、殿が問いかける。

「あっ…くんっ!だって、変な声が出…る…んっ!!」

 潤んだ瞳で大地之助に見つめられ、殿はふ…と笑った。

「いいんだよ、大地之助。その声をもっと聞かせておくれ」

 殿は、震える大地之助をゆっくりと膝で立たせて指をだんだんと奥に回し、小さな蕾に触れた。

「ぅんっ!!」

 目をつぶって大地之助は思わず殿に抱きついた。

 大地之助の甘い香りに包まれて、殿は囁く。

「ここに、私のモノを入れるんだ」

 円を描くように菊門に触れられ、大地之助の脚がガクガクと震えている。

「殿のモノ…?」

 頬を桃色に染めて聞く大地之助は、可愛らしさの中に妖艶さが同居しているようで、殿は頭がしびれ始めていた。

「ああ、私の男根だ」

 息も絶え絶えになっている大地之助に、殿はぐっ!と中指を突き入れた。

「あぅ…!!」

 大地之助は背中をしならせた。

 少々強引だったかな…と思った殿だったが、自制がきかずにそのまま奥に指を進ませた。

「い…いたっ…!やだ、殿、怖い…っっ!!」

 大地之助は経験したことのない痛みにどうしようもない恐怖を感じ、泣いている。

 殿はその言葉にハッとして指の進入を止めた。

「ひっ…んっ…ふっ…」

 眉をひそめ、大粒の涙を掌で拭ってしゃくり上げる大地之助を見て、殿はもうそれ以上できなくなった。



「す…すまない大地之助っ…」

 慌てて指を引き抜き、大地之助を抱き締める。

「殿…」

「大地之助が余りに可愛らしくて、調子に乗りすぎた…今日はこのまま一緒に寝るだけにしよう」

 そう言って殿は大地之助の頭を優しく撫で、布団に横になった。

「でも…」

 大地之助は怖くて思わず抗ってしまったものの、お殿様が簡単に自分の言うことを聞いてくれて、かなり驚いた。

 今のような行為に恐れはあるものの、このままでは殿に申し訳がない。

 大地之助が殿を見ていると、殿が笑った。

「いいんだ、いいんだ。ほら、おいで」

 ポンポンと自分の隣の空間を叩いて招く殿に従い、大地之助はそこに寝転んだ。

 ふふ…と笑いかける殿を見つめて大地之助は謝った。

「殿…ごめんなさい」

「いいよ。何事も無理強いは良くない」

 自分に言い聞かせるように言う殿に、大地之助はギュッと抱きついた。

「大地之助…?」

 赤くなって不思議そうな顔をする殿。

 大地之助は小さく囁いた。

「殿がお優しい方で、僕は幸せです」

 殿は温かい微笑をたたえ、それに答えた。

「私も、大地之助と会えて幸せだよ」

 2人は寄り添い合って小さく笑った。 

 大地之助は、殿と触れ合った部分から伝わる殿のぬくもりを感じ、心が満たされていくのが分かった。

 この温かさは体温というよりも、殿の人柄、内面から伝わるものに感じられ、家族を亡くしてずっと寂しかった大地之助は、

安心感に包まれてだんだんと眠りにおちていった。

 殿は、薄目を開けて大地之助が寝入ったと確認するやいなや、すぐに布団から出た。

 というのも、今の大地之助との行為で大きくなってしまった男根を静める為だ。

 そして肌襦袢から熱を帯びてはりきってしまった魔羅を取り出し、こすり出した。

 大地之助の身体はすべすべの肌、薄い胸板、小さなお尻など少年独特の美しさを持っており、殿が触ったときの反応も初々しくて、

殿はそれらを思い出しながら達した。

 隣で殿がそんなことをしているとは知らずに、スースーとあどけない顔で眠っている大地之助。

 殿は起こさぬようにゆっくりと大地之助の元へと戻ったが、ほのかに色づいている大地之助の胸元を見てまた欲情しそうになる自分を抑え、

そのままそっと瞳を閉じた。