大地之助は、朝お互いに相思相愛の想いを打ちあけあったことで落ち着かず、なかなか寝つけなかった。
（どうしよう…殿に『契る』って言おうかな…）
そう思い殿の顔を見上げると、目をつむっている。
眠っているのかどうかは分からなかったが、起こすのもなんだか悪いので大地之助もそっと目を閉じた。
実は、殿はたぬき寝入りをしていた。
自分を愛しいと言ってくれた大地之助をこんなに間近で見てしまうと、理性がきかずに最初の夜のように無茶をしてしまいそうだったので、
その思いを打ち消す為に眠ったふりをしていたのだ。
…そうっと目を開いてみると、大地之助は目をつむって規則的な寝息を立てている。
長いまつげと桃色のふっくらとした口唇。
殿がそれを微笑ましく見ていると、下半身に熱い疼きを感じた。
（や…やばい、勃ってきたな…）
密かに焦っている殿の気持ちなど知るはずのない大地之助は、「うぅん…」と小さくうめいて殿の肩に擦り寄る。
温かい吐息が殿の胸元を這い、殿の股間はみるみるうちに上向いた。
（うわ…大地之助、それ以上はっ）
殿がビク、と身体を逃した拍子に、大地之助は目覚めてしまった。
大地之助はまだ夢心地だったが、下腹部に何か硬いものが当たっているのに気づいた。
「……？」
寝ぼけまなこでそれに手を伸ばすと、殿がビクン！と身体を強張らせている。
「…？殿？」
殿を見ると、真っ赤な顔で目をギュッと閉じ苦しそうだ。
大地之助は訳が分からず、そうっと布団をはぐって手に触れる硬いものを見てみると…それは殿の股間で、場所から考えると男根に違いなかった。
大地之助はビックリして殿に問いかけた。
「殿っ…どうしたの、ここ大きく腫れてるよ？」
大地之助は眉根を寄せて心底心配している。
殿は目を開け、照れ臭そうに笑った。
「大地之助、心配するな。これは病気じゃないんだよ。ただ…」
「…ただ？」
病気じゃないと言われても、自分はこんな経験がなく、聞いたこともない。純粋に不思議だった。
殿は口ごもりながら続ける。
「…大地之助とこうやって一緒にいると、どうもその…性的に興奮してしまってな」
「……」
大地之助は、男の身体が性的に興奮するとこうなるのを初めて知った。
いずれ自分も大人になれば、こんな風になるのだろうか。
何よりも目の前の殿が辛そうに見えて、聞いてみた。
「殿、これどうやったら治るの？」
殿は一気に顔を赤く染めた。
「！！どっ…どうやったらって、そりゃぁ…」
大地之助から目を逸らし、もごもごと続きを言いよどんでいる。
大地之助は分からないなりにも、もしかしたら『契る』ということに関係あるような気がした。
そういえば最初の夜、殿の股間は同じようになっていたような…。
あの時大地之助は、殿の行為に驚きっぱなしで自分のことで精一杯だったのだが、かすむ視界に殿のふくらんだ股間を見たような記憶がおぼろげながら浮かんできた。
「いや大地之助、気にしないでくれ。自分でどうにかできるから。ちょっと厠へ…」
照れ笑いしながら布団を出ようとする殿の袖を、大地之助はきゅっと掴んで引き止めた。
「…大地之助？」
不思議そうに殿は大地之助を振り返る。
大地之助は殿と同じくらい顔を赤らめていた。
「僕…殿の『夜伽』する」
「！！！」
殿はすごく意外そうな顔をした。
「大地之助、無理しなくていいぞ。まだ怖いんだろ？」
大地之助の肩を優しく撫でて殿は微笑んだ。
大地之助はやんわりと首を振る。
「ううん、無理してない。あの時は殿のこと良く知らなくて、思わずいやだって言っちゃったけど…」
大地之助は意を決したように殿を見上げた。
「僕、今では殿のことが大好きで、契りたいって思ったんだ。だから怖くない」
殿は、大地之助にはっきりそう言われ、感激した。
ぐっと自分の胸へ抱き寄せる。
「大地之助…私もお前が大好きだ。心から愛している」
「殿…」
大地之助は大きな胸の中で、とろけるような陶酔を味わった。
「…本当に良いのか？」
「うん、いいよ。他でもない殿だもん…」
胸元で呟く大地之助に、殿はもう自制がきかなかった。
「大地之助…」
殿は囁きかけながら、大地之助の口唇に自分の口唇を重ねる。
とても柔らかく、さくらんぼのような大地之助の口唇は、殿を迎え入れてしっとりと濡れていく。
「んっ…」
侵入させた舌が大地之助の舌を追いつめ、絡みあう。
それだけで大地之助は気が遠くなるほどの悦楽を感じた。
濃厚な口づけをされたまま着物の胸元に手を差し入れられ、桃色の小さな突起を探り当てられた大地之助は、くすぐったそうに身を捩った。
「ぁっ…はぁ…」
殿は帯をもどかしそうに解いて、大地之助のすべすべの胸をあらわにする。
先ほど捕らえた乳首が行灯の灯りにほのかに照らされ、なまめかしく殿を誘っている。
「大地之助…可愛いよ」
促されるままそこに殿の舌が伸び、弄んだ。
「くっ…ふぅん…」
切なげに声を漏らす大地之助の上気した頬がまた愛らしくて、殿は小さく微笑んだ。
大地之助は下半身からゾクゾクと上がってくる何かを感じていた。
その『何か』は熱を帯び、大地之助の全身を包む。
殿の愛撫はだんだんと下に降りていき、大地之助の脚を大きく開かせた。
そこには頭をもたげ始めている大地之助のおチンチンがある。
桃色の先端が顔をのぞかせ、その無垢な幼いモノがピクンピクンと自己主張しているのを見て、殿は嬉しそうに言った。
「大地之助のも、私と同じようになってるぞ？」
大地之助は恐る恐る目を開けてそれを見てみる。自分のものが見たことのない形に変わり、揺れている。
性的に興奮していることを強く自覚して、さらに顔を紅潮させた。
「…やっ…殿っ。恥ずかしいよっ…」
顔を両手で覆って脚を閉じようとしたが、殿は笑顔でそれを許さず大地之助のおチンチンを口に含んだ。
「っっあっ！！」
大地之助はビクンと身体を揺らし、声を上げた。
殿は愛おしそうに全体を舌で包んだり、硬くした舌で先端を刺激したり、顔全体を上下させて責めた。
「はっ…あん、あっぁっ…！」
身体がびくびくと震え、強烈な愉悦に耐える。
するといきなりビリビリとするような感覚にとらわれた。
「ひっあっ、なんか…僕っ、ヘン…！！」
頭を左右に振り、未知の快楽に戸惑う大地之助。
殿はいったん大地之助のおチンチンから離れ、問いかけた。
「気持ちいいか、大地之助」
「うんっ…気持ちいいっ…」
殿はそれを聞いて自分の人差し指に唾液をつけ、大地之助の桃色の小さな菊門に軽く触れた。
「っ…！」
大地之助は一瞬身体をのけぞらせた。
殿はまた大地之助のおチンチンに吸いつく。
「んあんっ！！」
じゅるじゅる、じゅぶ…という卑猥な音を立てて殿は尺八をする。
その上菊門に円を描くように優しく触れられ、大地之助は閃光が目の前に走ったような気がした。
「ふっ…ぁっ…ああっっ！！」
大地之助は高らかに声を上げて、生まれて初めての絶頂に達した。
